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1943年5月28日~クレムリン

 スターリンは憮然としていた。1週間ほど前、満州国境地帯、樺太国境、千島北部に突如として、巨大な砲塔が設置されたという。14インチの連装砲である。2、3か月ほど前からなにか工事をしていることには気が付いていたが、少なくとも10か所以上になる。あまりにも突然なので、張りぼてではないかと疑っていたが、ここ数日、各砲台が明後日の方向に試射を行ったらしい。肝を潰した現地の軍司令部から、悲鳴のような報告が入ってきている。また、5月の中旬には間宮海峡を、大機動部隊が通過した。北サハリン駐在軍が陸上からと、近くにいた海防艦が目撃した。ビッグセブンの一艦である長門級がいたが、それが巡洋艦に見えるような巨大戦艦がいたらしい。推定だが、主砲は18インチではないかとのことだ。上空には多数の戦闘機が旋回していた。空母も3隻目撃されている。北サハリンの駐在軍司令官は、国境の監視部隊を30キロ下げたい、と言ってきた。馬鹿な奴だ。30キロではまだ砲塔の射程内ではないか。もちろん現状で監視を続けるよう指示した。ウラジオストックの極東海軍からは、オホーツクに配備された潜水艦が謎の敵からの攻撃で壊滅しているので、増援してくれと矢の催促だ。日本はどういうつもりだ。中立条約をどう思っているのか。早速外務省から威嚇行為をやめるよう申し入れさせなけばならない。


 今は、極東どころではない。ドイツとの決戦が迫っている。春先の手痛い敗北から、ようやく戦力を取り戻しつつある。しかし、アメリカからのレンドリース物資がさっぱり届かなくなった。ムルマンスクは開店休業状態だ。北太平洋経由は冬季は閉鎖状態だったが、そろそろ再開してもいいはずである。しかし、輸送船の手配ができないという。イギリス製の戦車はないよりましなていどだから大きな問題ではないが、トラックやジープが来ないのは痛い。前線への輸送や連絡に支障が出ている。クルスクについては、いろいろ議論があったが、結局、ジューコフの主張する戦略守勢で後に攻撃転移という方針に決まった。春先にやられたことをそっくりそのまま返してやるというわけだ。

 ヒトラーが死んでから、わがスパイ網が摘発を受け、あまり情報が入ってこなくなった。どこから情報が漏れたのだろうか。中国では、毛沢東ほか幹部が、モンゴルに避難してきた。まだ、共産党組織自体は全土に残っているようなので、利用価値はありそうだから、多少の支援は続ける。とにかく、まずロシアからドイツを叩き出すことだ。

歴史ジャンルで日間ランキング一位を達成しました。ありがとうございました。

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