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掌編小説集10 (451話~最新話)

深夜の部屋で

作者: 蹴沢缶九郎

夜も遅い時間、越してきたばかりの部屋で青年が一人、携帯ラジオを上下させてゆっくりと歩いていた。

ラジオの受信感度が悪く、どうにか聴けないものかと試していたのだ。

青年が部屋の角に立ち、ラジオを高く掲げた時だった。突然部屋の中心から突風が吹き、二本の角、先の尖ったしっぽ、コウモリの様な羽を持った一匹の悪魔が姿を現した。

青年は知る由もない事だが、青年が手にしたラジオの角度、受信電波の位置、時刻等がたまたま悪魔を呼び出す条件と重なっていた。


「これはどういう事だ!?」


悪魔を見て、驚きの声を上げる青年。

しかし悪魔は青年に興味を示す事なく、疲れきった様子でその場に倒れ込んだ。


「大丈夫ですか!?」


青年からすれば、悪魔に聞きたい事は沢山あったが、出現していきなり倒れたとなれば、体調を心配するのは当然である。

悪魔は苦しそうに答えた。


「…どうやら、私はあなたに召喚されたようだが…ゴホ…ゴホ…、見ての通り、私は体調が悪く…ゴホ…、あなたの期待に応えられない。今、私達の世界で流行っている感染力の強いウイルスに犯されていましてね…。ワクチンもなく…致死率も9割を越えるという…ゴホゴホ…」


悪魔はそこまで説明すると、いい加減疲れたのか、その場から姿を消した。

夢か幻か、今起きた出来事を頭で整理していた青年は身体に悪寒を感じた。きっと悪魔のウイルスが自分にも感染したのだろう。青年の心配は、悪魔の世界で治す事の出来ない病が、果たして人間の医療で治せるかどうか…。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 正真正銘 悪魔のウイルスですね!笑 [一言] 青年!絶対に動くなよっ!!
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