ラブレターを僕に預けて間接的に渡すと必ず成功するので、学校一の美少女も僕にラブレターを預けてきたけど相手の名前がない件。(ちなみにもらった日はエイプリルフール)
勢いで書いた後悔はねえ。
意外と楽しかったので続き書くかも
「頼む!史織今回の子は本気なんだ!だからこれをお前が代わりにその子に渡してきてくれ。」
先程友人から名前が出た僕は思助 史織は友人である田中が、春休みのある日僕の家にやって来て、意中の子にラブレターを代わりに渡してくれと依頼して来た。
僕はこれで何件目だと思いつつ、ハァっと溜息を吐いた。
昨日も前田さんから一つ上の先輩に渡すよう頼まれたり、 一昨日は、幼馴染みの友人からもラブレターを後輩の女の子に渡す役を頼まれたのだ。
何故僕が、このように友人からラブレターを代わりに渡す役になった経緯を説明しよう。
それは何てことない日々の中で起きた出来事だ。
僕はいつも通り学校に登校をした。そしていつものように玄関の靴が下駄箱を開けるとそこには手紙が入っていた。
始めはそれを見た瞬間、嬉しさのあまり声にならない声を生まれて初めて上げた。そして僕はルンルン気分で教室に入り周りの友人がいないのを確認して中身を見た。
すると手紙に書かれていた内容は、僕への愛の告白ではなく隣のロッカーである坂本に当てられたものであった。
それが分かった途端、僕は嬉しさの絶頂から、あら、不思議真っ逆さまに落ちて一気に絶望の淵に落とされたのだ。
そこから数時間は、メソメソと一人でうつ伏せになって凹んでいたが、放課後が近づくにつれ僕は徐々に立ち直り六時間目の始まる直前になって完全に立ち直った。
そして僕は考えた。この手紙を間違えて入れてしまった子はさぞかし緊張していたに違いない。そんな緊張を乗り越えてようやく入れた手紙を無碍にしていいのだろうか?
いや、ダメだ。そんなのは絶対にしちゃいけない!
だから僕はこっそり坂本と授業が始まる前に坂本の机にそのラブレターを入れて置いた。
すると後日、ラブレターを間違えて入れてしまった女の子が僕の元にやってきて感謝をしてきた。どうやら坂本と無事付き合うことができたようだ。
だが彼女の感謝の内容が酷かった。
「私の予定通り、坂本さんに渡してくれてありがとうございます!」
話を聞くと彼女は、元から間違えて入れていたのではなく直接置いておくのには羞恥心を抱いたらしく、わざと僕のところに置いておいたらしい。そして、僕がそれに気付いてさかもとに渡してくれるように計画を練ったのだ。
まずこの回答が返ってきた時僕は、こう思った。
君馬鹿なんじゃないの?と誰も見ていない時間帯にラブレターを意中の人の下駄箱に入れるだけなのだ。何故わざわざ僕を経由するという手順をいれてきたのだろうか?と疑問を持ち質問をした。
「だって、直接渡されるより間接的に渡された方が何だか嬉しいじゃないですか。」
と返答が返ってきた。
まぁ、これなら僕だって少しは分かる。直接的に好きだと言われるよりも、誰々が君のこといいよねって他人から聞いた時の方がなんだかんだ嬉しいのだ。
とりあえず、感謝の気持ちを受け取った僕は平凡な一日が始まると思っていた。
その子に感謝された次の日、この日もまた手紙が入っていた。そして今回の内容も恋文で、今度は僕の下駄箱より上にある下駄箱使っている門崎だった。
その日は、僕は前の時と同じく門崎にラブレターを渡した。
するとまた後日門崎がその子と付き合い始めたことを知った。
そして、これが毎週のように起こり僕が渡すと実は成功率が上がるのではないか?と噂され始めた結果、今、僕は恋愛成就請負人みたいになってしまったのだ。
しかも、頼む相手側はかなり誠実に思いを僕にぶつけてくるので断りにくいのだ。だからズルズルと半年もこんなことが続いていた。
さて、今日は吹奏部の女の子か。顔を見せてもらって思い出した。確かにかなり可愛いので、田中は野球部なので、おおかた夏の甲子園の時にでもやられたのだろう。
「分かったよ、この子に届けてやる。」
「本当か!?」
「その代わり僕のせいで失敗したとか言って責めるなよ?後報酬として、自販機のジュース奢りな。」
「分かってるさ!ジュースくらい幾らでも奢ってやるだから頼む。」
「なら取引成立だね。ほら帰った帰った。僕は今から着替えて手紙を届けに行かないといけないからね。」
田中の誠意に折れた僕は、学校が休みのか制服に着替えて部活動をして吹奏楽部に向かうのだった。
学校に着いた僕は、三回にある音楽室に向かったのだが何故か吹奏楽部の人は居なかった。どうしただろうと考えていると下の方からコツコツと人が上がってくる音が聞こえてきた。僕はその音の出処の方を向くと確かに吹奏楽部の女の子なのだが目的の人ではなかった。
「あれ、どうしたの思助くん?今はコロナで自宅謹慎な筈だよ。」
「ああっ、奏さんこんにちは。また手紙を渡すよう頼まれてね、そうか今春休みだったから気付かなかったけど自宅謹慎中だったね。忘れてたよ。」
「アハハッ、このご時世に忘れてるなんて本当に危機感ないんだね。」
ケラケラと奏さんはおかしそうに笑った。
やはりその笑顔を見ていると彼女が学校一の美少女と言われる由縁が分かる。
彼女名前は奏 魅音艶やかな黒髪はサラサラのストレートロングで目は少しだけ垂れ目でぷらっとした唇付近にはホクロがあり、おっとりした大人のお姉さんと言った顔立ちでスタイルもボボンキュボンと全く非の打ちどころがない容姿をしている。
容姿から受ける印象通り、おっとりした性格で男女ともに分け隔てなく平等に接しているから学校の殆どの人が彼女に好印象を持っている。残りの人は単純に知らないというだけなので、彼女と接してしまえば陥落するだろう。
それにしても僕は自宅謹慎だということを忘れていたが、彼女何をしに来たのだろうと思い見つめていると、僕が見ている理由を察したのか彼女は説明をしてくれた。
「私はね、部室の中に宿題を置いて帰ってたのを今日気がついて取りに来たの。」
「ヘェ〜、案外普通の理由だね。」
「普通の理由ってどんなのを期待してたの?」
「例えばだけど、今日男の人から屋上に来てくれって言われたとか、在校生代表挨拶をするのに選ばれたとかそんな感じのこと。」
「思助くんの期待を裏切るようで申し訳ないけど、本当にこれを取りに来ただけなんだよ。」
と奏さん部室の中にあった冊子をヒラヒラとをこちらに向けて振ってきた。彼女がこれを取りに来たののは本当のようだ。だが、あれって結構量があって一週間くらいかけても終わらないんだよな、大丈夫だろうか?まぁ、成績優秀な彼女なら心配はいらないか。
「じゃ、僕は目的を達成できそうにないし帰るね。バイバイ奏さん。」
「うん、春休み明けのクラスで一緒になったらよろしくね。思助くん、バイバイ。」
奏さんに別れを告げた僕はクルっと彼女に背を見せようとした時、キイと嫌な音が聞こえた。僕は反射的にそちらの方を向くと奏さんの後ろに積んであった机がフラフラしていた。
僕は危ないと思い奏さんの下に走った、そして奏さんを守るように位置を取り机を受け止めた。
「ふぅ、何とか崩れる前に止めれたね。大丈夫だった奏さん
怪我とかない?」
「だ、だ、大丈夫、ありがとう思助くん。」
少しだけ頬を赤くしながら、奏さんはどもりつつお礼を言ってきた。
僕は、これはフラグが建ったか!と思ったけどこんなことで建っていたら僕は既に彼女持ちだ。学校一の美少女である奏さんが僕に惚れるなんてそんなわけないか。
「じゃ、今度こそまたね。」
「待って!」
と奏さんが僕の制服の裾を握ってきた。
「どうしたの?」
「ちっょと腰が抜けたから、治るまで側にいて?」
奏さんは恥ずかしそうにしながらモジモジとした様子で僕を引き留めてきた。
そんな可愛いらしいお願いを聞いた僕は、一発でノックアウト当然彼女の願いを聞くことにした。
「ねぇ、思助くんはさ、何でラブレターを代わりに渡すのやめないの?他の人のラブレターを毎回渡すのなんて苦痛にならないの?」
「う〜ん。単純に僕が人の頼みを断れない性格なのもあると思う。」
「もってことは、他にも何か続ける理由があるの?」
と腰が抜けた間、僕が側にいるので前から気になっていたのだろうことを奏さんは聞いてきた。
まぁ、この答えは何回も言っているので少し慣れたけどやはり恥ずかしい僕は頬ポリポリと掻きながら、頼まれた人に返してきた答えをこぼした。
「最初はさ、何で僕を経由するのさ!直接渡せばいいだろうって思ってたんだ。だけどさ数回経った辺りから、僕に頼んでくる人はみんな自信がないんだって分かったんだ。この想いは叶わないんじゃないか、自分は意中の人に釣り合っていないんじゃないかって不安なんだ。でも、この気持ちを伝えたいって想いがドンドン膨らんでいるんだ。」
奏さんは僕が真面目な話をし始めたので、真剣に耳を傾けているがそんなことをされると恥ずかしいので苦笑いを浮かべながら続けた。
「けど、肝心の想いを伝えるための手段を強行するための最後の一歩が出ないんだよ。だからその一歩をアシストして欲しいって真剣にみんなお願いしてくるんだよ。だから、僕はそんな彼らの期待を裏切らないようにしているだけだよ。それにさ..。」
「それに?」
「この仕事をすると、皆んなが僕を認めてくれるんだ。お前はいい奴だってお前はすごい奴だって、これをする前のコミュ症だった僕は友人が殆どいなくてさ人に褒められたり認められたりするのがとても嬉しいんだ。だから僕は頼んできた人の依頼は絶対に破らないようにしてるんだ。」
最後まで話切った僕は、心の中でクセェーは僕と思いながらゴロゴロと転げ回っていた。
奏さんの方を見ると彼女は僕の方を見つつ何やら小さな声で何か呟いていた。
「奏さん、反応があるならしてくれると有り難いだけど、僕この話するの凄い緊張したんだからさ。」
「ぁ、ごめん。私帰るね。」
と彼女は抜けたはずの腰が治ったようでその場から急に立ち上がり走りながら帰っていった。
それを呆然と見ていた僕は、あれ絶対こいつキモくねって思ってやつじゃんと思いつつ頭を抱えて溜息を吐いた。
四月の初めの日僕は、自宅謹慎のため今日も家でゴロゴロしていた。すると昼前に僕の家のチャイムが鳴った。
「はーい。どちら様ですか?」
とガチャとドアを開けてきた人を確認すると、私服姿の奏さんだった。
「思助くん、これをある人に渡して欲しいんだけど良いかな?」
「いいけど、これ誰に渡せば良いの?」
「それは、隣のクラスの男の子だよ。じゃ、お願いね。」
と風のような速さで手紙を僕に渡すとすぐに消えていった。
僕はそれじゃ誰か分かんないじゃんと思いつつ、部屋に上がり手紙の内容を確認した。
私は、君のことが大好きです。人のために動ける優しい所、私が危ない時いつも助けてくれる所そして何より君のその真っ直ぐな瞳が私は好きだよ。
だから、私と付き合って下さい。
奏 魅音
ちなみにこれはエイプリルフールだから、嘘だよ。思助くんだからこれは誰にも渡さなくて良い。だからこれは君が持っていて。
と手紙を読み終えた僕は、顔を真っ赤に染めた。
何故ならエイプリルフールの嘘は午前中だけなんだ、そして僕が貰ったのは丁度午後だから、これは嘘なんかじゃない。
僕に宛てた正真正銘のラブレターなのだ。
何故彼女から、ラブレターを貰ったのかは分からないけど僕はこれを他の誰かに渡すことは無いだろう。
だってこれは僕が片思いをしている子の手紙だからね。絶対に手放さない。
その後、僕は奏さんと...。
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