真実は非道だから
目々娘が目覚めると自分の神社だった
「う~ん...」
「あ、起きた」
枕元にはレピスンと那岐がいた
「ふっ...さすが最強の私に勝った女」
隣の布団を見ると三尾地が寝ている
「げぇ...めんどくさい」
三尾地はぐーぐーと呑気なイビキをかいている
「神に勝つなんてね、本当に最強の霊妖鬼だったのね」
「う~ん...」
三尾地はレピスンの騒ぐ声で起き上がった
「神様っ!」
レピスンと那岐は膝をついた
「ふふっ、面をあげなさい、那岐、レピスン」
「起きたわね、さあ、布団から出ろ」
「ああ、これ八千代のね、ごめんなさい」
そんな話をしていると表の扉が開いた
「起きましたか、三尾地様」
大きな樽を持った勇利が現れた
「!それ私の秘酒じゃない!」
「宴会ですよ、良いですよね?」
神の秘酒とは、普通の酒の中に1000年間神の核を入れた、最強の酒だ
「ぐぬぬ...私が密かにちょぴちょぴ呑んでたのに!」
「まあ良いじゃないですか!神様!」
那岐は三尾地にすり寄る
「私はお酒呑めないけどねー」
「俺も呑めない」
そんなこと言いながら勇利は樽を開けた
そのお酒は純水のような透き通る色で、のぞきこんだ目々娘と那岐の顔を鮮明に写した
「おお...立派なものね...」
「なぁ目々娘!この神社に柄杓あるか!?」
「もー!私も飲むー!」
「俺たちはこれだな」
「ん?エイゴ?『どくたーぺっぱー』?」
「上手いぞ」
レピスンはそれをイッキに飲んだ
「うへぇ...苦手」
「そうか?上手いと思うが」
「私飲める物は?」
「台所にお茶ならあるわよ」
「ぐぬぬ...」
レピスンは宴会を始めた目々娘達を横目に台所に向かった
「そう言えば目々娘、いつの時代から記憶ある?」
お酒を呑みながら三尾地は目々娘に語りかけた
「んー...どこかの木で死にかけていたところかな」
「やはりお前も生まれの記憶は無いのか」
「ん?そう言えばそうね」
「単刀直入に言うとね、貴方は『別の地球から連れてきた』のよ」
理解の出来ない言葉が三尾地から出た
「貴方が生きている世界はひとつの『イフ・ワールド』なのよ」
「まって、意味わからないや」
「上手く説明は難しいが、要するに地球はいくつもあるってこと」
「もっと詳しく言うならなぁ...例えばこの二枚の紙があるだろう、その紙には全く同じ大きさの丸がある、この二枚の紙は別のもので絶対に重なることはない」
「私らが沢山いるってこと?別の紙の上に」
「嫌、違う、この丸の中の柄は全て違う、機械仕掛けのものや廃れた柄、土台は同じだがその地球の中で生きた人や別の存在がいるんだ、その一瞬、一秒が違えば無数にある『イフ・ワールド』でも同じ存在は無い」
「頭がこんがらがってきた...」
「ふぅん...私がどこかの『イフ・ワールド』から連れてこられた訳ね」
「そう、そして連れてきたのはこの私よ!」
三尾地は酒が回ってきたのか、テンションが高い
「で、何のためよ」
「貴方が不遇な身だったからよ、ただ私が救いたかったわけよ」
三尾地は杯に入った酒を飲み干した
「ぷはぁ~...知りたい...自分の事」
「....」
「きっと良いもんじゃねぇぞ、俺もそうだった」
逃げるための足ではない、目々娘はそう思い、話を聞いてみることにした
「....話してみなさい」
2020.1.9
その日産まれた少女は○○○○○と名付けられた
しかしその名は一度も使われることなく『No.1900』と言われた
「No.1900の具合はどうだ」
「はい、至って普通です」
男の声がNo.1900の耳に入る
「....5年後に来る○○の為の犠牲だ...」
○○....
2025.1.7
その日、世界に核が落ちた
その世界はまさに阿鼻叫喚の具現化
人々はこう口にした
「第三次世界大戦だ...」
2025.1.9
日本は最終兵器の使用を許可した
それは年若い少女に『爆弾』をつけて敵国に送り込むと言う最悪の作戦だ
とある神はこう苦言を呟いた
「ふざけるな...私が望んだ世界はっ...」
しかし、それは実行された
結果的に日本を勝利に導いたそれはまた新たなる戦いの火種だ
神は爆発で崩れていた幼い体を踏みながら、『奇跡』を探した
「救えなかった...いやっ!こんな世界救う価値なんて無かった!」
神は叫ぶ
「誰か....虫でもいいっ!何でもいいっ!生きていてくれ!」
その時、神は奇跡を見つけた
「あ....たす....」
「良かった....君は...」
少女の体には爆発しなかった爆弾が付いている
「なんばー...せん...きゅーひゃく...」
神は絶句した
「ふざけるな....あいつらは自分と同じ存在をこんなにも邪険に...」
神は空を切った
「....『全神』よ...許せ...」
神は空を切って出来た隙間に入った
その隙間は消えた、その瞬間、地球の中心から桜の木が生えてきて、地球の養分を吸っていった
この地球には人は居ない、ただ美しい桜の木が自生するだけ
「待ってろ!直ぐに楽園へ...」
その時、爆弾が起動した
「なっ....」
爆発したが神はその勢いを消した
しかし
「あっ!」
少女は隙間の中に消えていった
その瞬間、神は楽園へ到達した
そこはさっきとは真逆の花園だった
「くそっ!私はっ!私は!」
「那古ちゃん...」
美しく端麗な女性が声をかける
「....きっと強く生きてるよ...」
6歳位の女の子が神に言った
「....三尾地様....大丈夫ですって!..きっと....」
刀を腰に刺した女性が神の肩に手をかけた
「....一人にさせてくれ...」
「行くわよ、神奈ちゃん、季奈ちゃん」
三人の女性は消えた
「.....」
「その1900がっ...くぅ~」
三尾地は酒に酔い、眠ってしまった
「.....ふぅん」
目々娘はこの瞬間、酒に酔わない自分に苛立ちを覚えた
「大丈夫...目々娘...」
レピスンは目々娘の肩を支えた
「今日はお開きだな....さあ、布団をひくぞ」
酔いつぶれた那岐と三尾地を寝かせるために布団をひいた
「また明日からの日々を大事に生きていこう....」
目々娘はそう思った
なあ、お姉、どこに行ったの?
ただ自分の弱さが嫌になっていく
もしお姉が本当に私の前から消えたなら....
考えるべきはつねに最良かっ....
レピスンと勇利と共にひいた布団についた
わちき頑張ったよ...
含みのある終わらせ方だったけどつづきはありまぁす
もう疲れたので寝る...
わたてん見てからねる...