心穿つ矢
地獄の扉に着いた
「行きましょう!目々娘さん」
「....犯人はあいつよね」
違和感があった
時がずれているのがあの神のせいなのか
その力があればわざわざ直接焔を殺す必要はないはず
難しく考えても駄目か
私たちは勢いよく扉をあげた
その瞬間、私めがけて矢が飛んできた
それをかわし、刀を構える
「流石はあのお方を倒したもの、被弾はしませんか」
「概嵩様!」
「あなたは...霊針麗々ですか、なぜあなたはそちら側に?」
「決まってます、悪いことは駄目だから!」
麗々はどや顔を晒す
「....では聞こう、忠心を捨てることが正しきと」
「.....ん...」
麗々は悩む
「まあ個人的な嫉妬もあるのでぶち殺します」
概嵩は矢を放った
それを私は刀で受ける
「甘過ぎる...」
「離してください!目々娘さん!」
その麗々の叫びに反応した頃には遅い
私の刀は石になり、それは左腕に侵食していた
「くっ!」
私は刀を作り出し、左腕を体から切り離した
「目々娘さん!」
そんな私に矢が飛ぶ
しかしその矢は麗々の札により止まった
「弱すぎ、私が出るまでもありませんか?」
石化した札は地獄の赤き地に落ちた
「死になさぁいっ!」
三本の矢がほぼ同時に放たれた
麗々の札でも護りきれても私か麗々だけ
ならば答えはわかる
「自分を護れ!」
「くっ....ごめんなさい!」
私の体に二本の矢が突き刺さり完全に石になった
なるほど...意識はあるのか...
ならば私の勝ちだ
「さあ、どうしましょう、麗々っ!」
「....ごめんなさい!無理でした!」
麗々は逃げ出した
「雑魚、まあ殺しますがね!」
射程圏内から離れたのか、概嵩は走った
しかし概嵩は転んだ
「くっ...なんですか....指っ!」
そう、それは私の右手の薬指
指さえ有れば作り出せる
私をっ!
「負けよあんたの、せいぜい泣きわめきなさい」
完璧に作れた、この瞬間に意識は作り出された私に移る
私は概嵩の首を左手で掴んだ
「ぐっ...がはっ!」
そして概嵩は口をあけ、そこに右手を突っ込み、麗々の札を作り出す
その札は体を駆け巡り、内側から裂けていった
「がっ....負けです...命だけは...」
その瞬間、地獄の霊達が無数に現れた
「なっ!」
「何てね....おめぇの負けだ!」
「負けとか、どうでもいいですよ」
赤いマフラーをなびかせ、左目に眼帯をした少女が現れた
「お前は...神霊っ!」
「そうです、じゃあやってみせます!」
赤マフラーの少女は眼帯を外した
「言霊は正しき!“みんな家に帰ってドーナツ食べましょう“!」
その刹那、無数の霊は皆消えた
「なっ!」
赤マフラーの少女は眼帯をひろい、身に付けた
「げーむうぉーばぁーです!」
その言葉と共に概嵩は倒れた
「さて、無事ですか?」
赤マフラーの少女は笑顔をこちらに向けた
「私は鬼龍院那岐、最強の那岐です」
「私は今原目々娘...ん、那岐?」
そんなことを思っていたらポカンとした麗々が帰ってきた
「那岐、那岐、那岐!知ってます!」
鬼龍院那岐は私の手を取り、ブンブンと振った
「んー知ってる」
「那岐ちゃんは....元気に笑ってますか?」
私は那岐を思い出す
「いっつも笑ってるわ」
「良かった....ありがとう...」
鬼龍院那岐は泣き崩れた
「私、ずっと...うっぐ...うえーん!」
「どうしたんですか目々娘さん?」
「しらん」
「教えてくださりありがとうございました、伝えてください那岐ちゃんに」
「なんて?」
「私は忘れてません、でも貴女は忘れてくださいとだけ」
鬼龍院那岐は涙ながらに言った
忘れて欲しい、だが私を忘れないで欲しい
そんな気持ちが伝わる
「そんなの伝えないわ」
「え...」
「何が有ったかは知らないけどあんたを地獄から連れ戻す、だからあいつにこう伝えなさい、『待たせてごめんなさい』と」
「....はいっ!」
鬼龍院那岐は笑った
「でも現世行きは禁止事項であり、神代降格になります」
「なるのは季奈の輩でしょ?四肢もいでもやらせる」
麗々は微笑んだ
「ですね」
このとき、本当に自分を裏切ったのだろう
「で、どこにいんのよあいつは」
「あと七キロくらい先です」
「とおい」




