溶けない氷
家に帰ると当然のように三尾地がいた
「おかえりなさい~」
「はぁ...そう言えばあいつらは?」
「神領に放置してきた、あそこが一番安全だしね、ついでに一番ヤバイ睡眠薬を注射されたレピスンも」
「そう、じゃあ早く帰れよ」
「すごい辛辣ね!私意外とメンタル弱いわよ」
「なんか用でもあるの?」
「これよこれ」
三尾地は一本の注射器を出した
「...再生薬?」
「いえす」
「勇利に使ってやれば良かったんじゃない?」
「私もそう思うけどきっと勇利ならあんたに渡してたと思うわ」
一応医者の紛い物だったか
「じゃあ使うべきね」
私は自分の腕に薬を注射した
「それと冬返して」
「ん、」
凍った左手をつきだした
その手を三尾地がふれて氷はとけ、冬の文字が消えた
「あと布団しいてくれない?」
「は?泊まってく気?」
「え~だって色々やらかして全神様と会うの怖いし」
「....じゃああのお酒また寄越して」
「え、もうない...」
「嘘よね?」
「...少しよ」
お酒で忘れることが出来たらなね、できないから美味しいお酒が欲しいのよ
「はぁ..はぁ...」
「火の中でどうしたんだ?焼身自殺か?」
「....あながち間違いじゃねぇな...」
「貴女、名前は?」
燃え盛る炎の中で会話する二人の少女たち
「名前?さあね、思い出せねぇ」
「そうですか」
「あんた、氷みたいな女だねぇ...私とは絶対にあわねぇ...」
氷のような少女は少し悩んだ
「そうなのね...私に残ってるのね、氷が」
「おまえは...人...霊...」
「どっちでもないかな、貴女と同じ」
氷のような少女は微笑んだ
「名前」
「あっ?...」
「焔なんてどうですか?とてもよい名だと私は思います」
「ふっ...センスねぇなぁ...だから気に入った」
焔は笑った
それにつられて氷のような少女も笑った
「少しの間にでも名前が貰えて良かったぜ...」
焔は目を瞑った
「全く...私は目の前で消え行くものを見るのは嫌いなんだよ...」
氷のような少女は焔にふれた
「...『不変氷』...これから宜しくな焔」




