少女、冬の記憶
寒空の中あれはきっと幼き頃の記憶
私は森の中で朽ち果て、死を待つのみ
「貴方は強いわ、だから強く生きて」
そんな希望が聞こえた
もう少しだけ、抗ってみようと思った
そんなどころ誰かも分からない言葉を信じるしか無かった
「貴方は?」
さっきとは違う美しい女性が現れた
「....」
言葉なんて出ない
「....きっと未来からの祝福ね!さあ、家に来ましょう!」
その女性に抱えられ、少女は生き残ってしまった
それから幾分の時が経った
「お姉!」
「あ、目々娘~みかんとって~」
少女は『今原八千代』という女性に拾われ、『今原目々娘』と名付けた
「こんなに雪が積もってるのはおかしいよ!きっとれいよーきの出番だよ!」
八千代は『霊妖鬼』というこの世界の種族のバランスを守る立派な仕事
『霊妖鬼』は神社を与えられ、それを拠点、もとい住居にする
「目々娘、この世には勝てない存在が2つあるの」
「何?」
「それはね...」
目々娘は唾を飲んだ
「こたつと神なのよ」
「つまり神様の仕業?」
「違う違う、こたつの仕業」
八千代はこたつに入り、眠った
「もういい!私が行く!」
「いってら」
目々娘は玄関から飛び出て行った
「...神の仕業ねぇ...そんなことした?『三尾地』?」
柱の裏から女性が現れた
「そんな下らない事するように見える?」
「見える」
「ふふっ、今回は違う、というかこれはただの自然現象ね、いずれ溶けるわ」
「じゃあ大丈夫ね、三尾地、みかん取ってきて~」
三尾地は消えていた
「...みかんが遠い...玄関までが遠い...」
その頃、目々娘は
「寒いっ....」
目々娘は深い雪の中、腰まで埋まりながら歩いて行った
「あ、そう言えばお姉がみかん欲しいって言ってたな」
目々娘は家に引き返した
「お姉ー」
返事はない
「みかん何個ー」
返事はない
「3つくらいでいいかー」
目々娘はこたつのある部屋のふすまをあけた
「お姉?」
さっきまでいた八千代が消えている
「....!」
部屋の中央に八千代の服が落ちていた
「お姉...?」
ここで目を覚ました
「うっ....寒っ...」
目々娘は時計を見た
「12時...1月5日...二年もたったか...」
目々娘は布団にくるまった
二年の間、目々娘は消えた八千代を探していたが見つからなかった
神社がある『月見山』や隣りの山の『焔山』も隅々まで探した
その二年の間に目々娘の心は廃れてしまった
一応、『霊妖鬼』に就いたが別の『霊妖鬼』に全ての仕事をやらしている
今の彼女には秩序を守る人としての意識は無く、ただ食材を作り、お腹を満たす暮らしだ
その時、家の扉が大きな音を立てて開いた
初投稿です、嘘です、リメイクですよー