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スラム

 足からだ。足からなるべく飛沫しぶきが上がらないように、音が立たないように落ちて、あとは人気のない所まで潜って行こう。


 よし、体勢を整えて・・・、着水!


 パチャン


 ・・・・・・。


 もうヤダ。


 なんで水の上に立ってんの?


 見れば腕輪と足輪がほのかに光って震えてる。


 お前のせいか!


 お前、ホンットに意思持ってるだろ⁉︎

 とりあえず、俺をおもんばかって水の中に入らない様にしてくれたのか・・・、それとも水に濡れるのが嫌で拒否っただけなのか。それだけでも答えろコンチクショウ。


 くそっ問いただしたいが時間がない。


 人気がないのは知ってるがいつまでも水の上に立ってる訳にもいかん。


 急いで堀から上がって、城から離れる。


 脱走した際に、まず目的地にと考えたのはスラム街だ。この国がどんな治め方をしているかは分からんが、どんな所にも裏ってのはある。


 ただ、あの姫さんの力がどこまで及んでるのか・・・その辺は賭けになるな。


 人通りの少ない路地へ路地へと進み、気配を探知して視界を飛ばす。

 呑んだくれてゲロってるヤツ、殴り合いの喧嘩してるヤツ、刃物出して脅してるヤツに・・・女をはべらせて呑んだくれてるヤツ。


 まぁ色々といるが、思ったより治安悪いな。なんか適当に脅しかけれて情報を持ってそうなヤツはいないかな・・・。


 あ、獣耳、獣尻尾発見。


 倉庫のようなデカい小屋の中に檻の付いた部屋が、一つ二つ・・・、十二部屋。


 これが獣人か?


 犬耳、狐耳、兎耳もいるが・・・みんな首輪付けて繋がれてて、服装はまちまち。

 ボロボロになってて辛うじて大事な所を隠せてる子から、上等っぽい身体のラインが出るタイトな服を着てる子、民族衣装っぽいゆったりした服を着てる子もいる。


 獣人っていうから狼男みたいな全身毛むくじゃらな、二足歩行するだけの獣かと思ってたら、耳と尻尾以外は人と変わらねぇな。

 それともアレかな、変身するとかかな・・・。


 それにしても、ここに居るのは女ばっかりだな。

 種族とランクによって分けられて檻に入れられてるっぽい。


 って事は・・・。

 どこかからさらってきたんだろうな、みんな服に汚れがあって何人かは殴られたり乱暴された形跡が見える。


 ・・・胸糞悪ぃな。


 獣人が攻めて来る理由って完全にコレだろ。自業自得じゃねぇか。こんな事するために俺は呼ばれたかと思うと、腹わたが煮えくりかえるぞ。


 くそっ、助けてやりたいが・・・、逃す場所も知らん今の俺じゃ無理だ。


 すまんな。


 スラムは良い手だと思ったんだが、ここは不味まずい。

 獣人と争う為に俺が呼ばれたんだろうし、獣人が絡んでいる以上ここに姫さんか、その手のヤツの手が入ってる可能性がある。

 部外者どころか異世界人の俺じゃ、どっちが危険でどっちが安全だなんて線引きは出来ないし、この都市の中で手を出せるとこなんてもう分からんな。


 と、なると・・・。


 気配の察知範囲を広げて伸ばす。ただ広げると頭が痛くなってくるから細くして遠くに伸ばして・・・、ぐるっと回す。


 ぐぅっ、便利な技だが頭に鈍い痛みがくる。


 よし、やっぱり居た。割と近くに居てくれた。助かった。


 耳や尻尾は流石さすがに確認出来んが気配の感じが、さっき見た獣人達に近い。

 人数は百人程度。


 二から三小隊ってとこか。なんの役を負った部隊か知らんが、今、俺が接触出来そうって言ったら、もうこいつら位しかいない。


 くそっちょっと無茶し過ぎたか、頭痛え。

 ズンズンと響く痛みから、キンキンとした刺すような痛みに変わってきた。


 急いだ方が良いかもしれん。


 周囲索敵。


 ちょっとの間、無防備だったと思うが俺に注意を払ってるヤツはいない。


 周囲を確認しながら一番外の防壁に向かって走る。


 程なく防壁に着いた。ちょっと人外な速度で走ったかも知らんが仕方がない。視線は全部振り切ったし良しとしよう。


 よし、城壁の上に哨戒しょうかいの兵はなし、せぇのっ。


 と、壁の上に向けて思いっきり跳ねた。


 ・・・。


 頭が痛かったんだ。


 それでコントロールが効かなかったんだ。


 そうなんだ。


 どふっ


 着地っと、また城壁を飛び越えて、ひと息に外へと飛び出してしまった。


 防壁の上は哨戒の兵が多いからあまり目立つ真似はしたくなかったんだが・・・、騒いでる気配なし。結果オーライだな。

 先を急ごう。


 獣耳のいる森は・・・、あっちだな。


 細い月の照らす薄闇の中をひた走った。


 暗くて見え難い筈なんだが苦にならん。

 だが、頭痛がヤバくなってきた。余りに痛くて目が見えないというか、見えるものに集中出来ない。


 走り抜いてなんとか森まで辿り着いたが、下生えが酷い。ここは走れない。

 いや、走れない事はないんだが、頭痛が酷くて飛んだり跳ねたり出来ん。


 くそっもう少し・・・でもないんだよな。結構奥に陣取ってるし・・・いや、陣まで行っちゃいかん。怪しまれる。


 周辺の警戒にあたってるヤツがいる筈だ。そいつにコンタクトを・・・。


 あれ、気配がわからなくなった・・・。


 あれ、なんか・・・。


「げほっごふっごふっ」


 なんだ?胸の辺りが気持ち悪い。


「ごふっごふっごぶっ」


 口からなんか出た。赤い、なんかすげぇ真っ赤だ。


 これが喀血かっけつか。

 って事は肺がやられた?


 あ、そうだ。能力に制限が掛けられてる可能性が、とか兄ちゃんと話してたっけな。

 もしかして自由に使い過ぎた代償か?


 でもまだ大丈夫だ。ちょっと休めばすぐまた動ける問題ない。


 そうだ、斥候せっこうを探さんと・・・。


 あれ、視界が・・・しかい・・・しかい?


 しか・・・いってなんだっけ?


 えっと、おれはなにしてたんだったか。


 なんかここ、しろいな。


 あれ?

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