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脱走

 カチャンカチャンカチャンカチャン

 ガリガリガリガリガリガリガリガリ


 うるせぇぇぇぇぇぇ!!


 鉛色の甲冑二人が腕を掴んで俺を引きり歩いてる。

 目的地は姫さんの部屋。


 さて、どうしたものか。

 悲しそうな目をした姫さんが来るなら部屋に大人しく連行されてもいいんだが・・・、へどろみたいな目をした姫さんとは出来ればもう二度と会いたくない。


 何か入れ替わる条件があるのか、まだしばらくは生きてる目の姫さんのままなのか。そもそも、あの姫さんは同一人物なのか・・・。


 カチャンカチャンカチャンカチャン

 ガリガリガリガリガリガリガリガリ


 あぁもう、うるせぇな!足を引きるから響くんだよ!考えがまとまらん‼︎


「なぁ」


 あ?


「なんだよ」


「いいんだろうか」


「なにがだよ」


 何だ、お前らしゃべれたんか。


「姫様・・・怖くないか?」


「馬鹿、言うな。お前もあの部屋に入れられるぞ」


 なに?


「・・・けどよ、前はあんな風じゃなかったよな」


 前ってどのくらい前よ?


「分かってる。けど、俺らに何が出来るよ?」


「・・・確かに何も出来ないさ、けどさ、このままここに居たら、いつかは俺らも入れられるんじゃないかって思っちまうよ」


 あの部屋ってどの部屋だよ⁉︎そんな怖えのかよ⁉︎詳細を言え詳細を‼︎


「入れられる前に獣人どもが攻めてくるだろうけどな」


 獣人⁇魔族じゃねえの?じれってぇな、普通に聞きてぇ。


「そうならない為に、こいつが召喚されたんじゃないのか?」


 こっち見んな。


「このジジイなぁ・・・。只者ただものじゃないっぽかったが、このジジイ一人が増えて何が出来るってのか」


 すまんな、元はただのジジイだよ。


「かつて、世界を滅ぼしかけた魔王ぐらい強いって話らしいぞ」


 あぁ、確かに召喚に突っ込まれたアイテムを考えるとその位は強いのかもなぁ。

 悪の秘密結社に魔改造された気分だよ。


「本当かよ、・・・駄目だ。もし獣人ども追っ払ったとしても、お先真っ暗な気しかしない」


「言うなよ。考えたくねぇ」


「なるほどねぇ」


 引きられている状態から、すっくと立ち上がってやった。ついつい口を挟んじまった。


「あっ、ジジイ‼︎」


「て、てめぇ!」


 気を失ってると思ってたジジイが急に立ち上がったら、そりゃビックリするだろう。

 けど、残念。

 鎧と触れてた腕から君らの気を奪っておいた。


「な、なんだ力がは、入らねぇ⁉︎」


「だから嫌だったんだ、こんな怪しいジジイ連れてくの!」


 ふふふ、何をされたかわからんだろう。実は俺にもよく分かってないんだ、怖いだろ。


 どうも、この鎧に付いてる能力の一つみたいなんだが・・・、エナジードレインっていうのかな?これ。原理が全く分からん。まぁ、こんなの付いてたら確かに着れないよなぁ・・・。

 使えないんだったら捨てとけばいいのに。


「さて、まだ口はきけるだろ。魔族と獣人の話と姫さんの部屋の話を教えてくれるかな?」


 あ。


 ガガンッ


 ゴメン人来たわ。思わず殴っちゃったけど、こっちは素手だし大丈夫だよな?


「あっ」


 自分の手を見て思い出した。

 俺も鎧だった。殴った甲冑の頭にデカい凹みが出来てる。


 気は・・・失ってる?なんかピクッピクッてしてる。


 ・・・よし、逃げるか。


 視界を飛ばしたり、俯瞰ふかんして見下ろしたり、気配を探知したりと色々と出来るんだが、どうも慣れてないせいか、一つの事に集中すると他がおろそかになっちまう。

 聞き入ってたのもあって、後ろの割と近いとこに巡回の兵士がいるの見落としてたよ。


 殴り倒しちゃった甲冑二人を置き去りにして走り、確認しておいた逃走ルートに入った。


 衛兵や巡回の兵士に近付かないように外に出て、城壁の側の木陰に隠れた。


 月明かりがあるとはいえ、光源が少ない。ここまでくれば、まずそう簡単には見つからないだろう。一安心だ。


 そろそろ甲冑の二人が見つかる頃だと思うが、騒ぎになる前にとっとと壁を越えて、掘りを越えて城下町っぽい所に逃げ込みたい所なんだけども、難点が一つ。


 このトゲトゲしい鎧が目立ちすぎる。


 こんなんで街中歩いてたら一発で職質しょくしつもんだ。

 視界を飛ばして見て回っても全身鎧で歩いてる奴なんか一人もいねぇ。


 鎧着てたり、剣を手挟んでる奴はいるが城の中にいる甲冑な奴なんか、いくら探しても見つからない。

 まぁ、居たとしてもこんな特徴的な鎧を着て歩いてたら目立ってしょうがないんだがな。


 さて、どうすっかな。


 つっても鎧脱いで捨ててくしかないよなぁ・・・。でもこれ、どうやって脱ぐんだろ?普通、鎧なんて一人で着たり脱いだり出来る物じゃないはずなんだが・・・。

 いや、そもそも普通の鎧じゃないか。


 ・・・念じたら外れたりしないかな?


 と、思ったら勝手にに鎧がたたまれていった。

 俺の意思とは関係なく、鳩尾みぞおちの辺りから四つに割れて、それぞれが腕輪と足輪に畳まれた。


 後には厳つい腕輪と足輪を付けた、ちょい厚手のダフっとした袖なしシャツに、これまたちょい厚手のズボンを履いた俺が残った。


 靴がねぇが・・・この際、文句も言ってられんか。

 服装も・・・外の連中とはちょっと違うがそんなに気にならんだろ。


 問題はなくなった・・・が、疑問が残った。


 どう考えても鎧に意思がある気がする。絶対に今のは俺の意思とは別に動いた。


 自分の能力だって手探り状態だ。今の所はやって見たら出来た、なんか出来た。みたいな感じてやってたが、今の鎧の収納は完全に想像の外だった。

 何回考えてみても、勝手に動いたとしか考えられない。


「お前、生きてるだろ」


 右手首のブレスレットを顔の前に近付けてささやいてみた。


 ・・・。


 反応はない。

 たとえ話せなかったとしても、意思があるなら反応くらい返せるはずだ。

 しかし・・・、反応がないと馬鹿っぽくて恥ずかしいな。


 くそっ、ホントに意識持ってて動けるんだったら、後で覚えてろよ。


 城の方が騒がしくなってきた。

 人が来る前にここから離れよう。


 背にした壁の高さは目測で約6m。たぶんひと息で飛び越えられる。


 ・・・もぅヤダなぁ。


 畑作って、田ぁ作って、孫おちょくって、面白おかしく生きてただけの無害なジジイだったはずなのに、こんなアホみたいな身体で生きてきたくねぇなぁ。


 せぇのっと膝を曲げて、ぐっと足に力を入れ、思い切り飛んだ。


 うぉ!


 飛びすぎた⁉︎


 壁の上に登って、そこから掘を飛び越えて行くつもりだったのに、あぁ結構下に城壁が見えるなぁ。

 大きく壁を越えて・・・、あっいかん掘に落ちる。


 綺麗な放物線を描いて城壁に触れる事なく・・・、滑空は⁉︎滑空は出来ないのか?

 駄目なら物理法則無視して横滑りとかどうさ?出来ない?


 無理か。

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