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シスコンキングと平凡な私  作者: パン工房
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プロローグ

「なあ〜、鮎子〜どれが良いと思う〜?」


語尾を伸ばし、頬を緩ませにたにたした顔で私に聞いてくるこの男、一ノ瀬和哉は私の彼氏である。

分かるとは思うが、今私はこいつとデートをしている。

この会話も、端から聞けばバカップルそのものな発言だろう。

だが、実態は違う。

何が、「どれが良いと思う〜?」だ。

死ね、朽ち果てろ。

…いきなり暴言を吐いて驚いている人も多いだろうが、許して欲しい。

これには訳がある。


「さあ、どれでも良いんじゃない?」


「えー、俺男だから今日はお前に付き合ってもらって選ぼうと思ってたのにー。まあ、俺の妹は何でも似合うから良いけどさ!」


__聞いていただけただろうか?

こいつの今の台詞を。

そして、お分かりいただけたと思うが、こいつは重度のシスコンだ。もうシスコンキングと言っても良いほどに。

今日だって別にデートで来たわけじゃない。

来週誕生日である妹のプレゼントを、彼女に選ばせるために連れてきたのである。

__高級ブランド店に。

少し気合が入り過ぎというか気持ち悪過ぎというか。

今見ているものも、諭吉さんが何枚飛ぶか分からないような金額のアクセサリー達だ。

この野郎、私にはそこら辺の適当な店で適当に祝い適当に済ませている癖に__何て腹の立つやつだ。

しかもこんなことは一度や二度ではない。

デートの時にも毎回毎回妹への土産選びに付き合わされる。普段の会話から何から何まで全て妹尽くしだ。

挙句の果てには、妹が原因(妹が可愛すぎて眠れなかった。妹と遊んで時間忘れてた。妹が心配だからもう帰るect…)で遅刻はするわ、デートを早めに切り上げて帰るだのをするふざけた奴だ。

何においても妹を優先し、比較するため、今までこいつを彼氏と感じたことがあまりないし、むしろ死ねだの気持ち悪いだのと感じることの方が多かった。

妹が絡まなければ普通に良い奴だし、彼氏らしいことも多分しているとは思う。ただあまり妹が絡まないことが無いため、意味は無いが。

じゃあ何でこんな奴と付き合ってるんだと思うだろう。私だってたまに思う。


でも、別にこいつは最初からこうだった訳ではない。

顔立ちが恐ろしいほど整っていて人当たりも良かったため、学校でも有名で、一部では王子様までともてはやされていた。

一学年上で、私達の学年でも噂をするものや憧れを抱くものも多く、私もその1人だった。

きっかけや理由は知らないが、なぜか私に

告白してきて驚いたが、憧れの人が自分に告白してきたという状況に、喜びを感じないわけがなく、速攻で頷いてしまったことも覚えている。

何故私を?と最初の頃は思っていたが、2人になると緊張しすぎて、かんだり、耳を真っ赤にしていてとても可愛らしかったし、彼女として大事にされていたため、本当に私のことが好きなんだなと実感し、充実感に満たされていた。

本当に途中までは高校生らしい、良い青春のような恋愛をしていた。

__シスコンの片鱗が出てくるまでは。




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