4・20 マンネリ化と短歌詠みの一日
4・20 マンネリ化と短歌詠みの一日
いよいよ一ヶ月になった。ベランダに立つことも習慣になり、まあなんとかやっていけそうなメドがついた。だがメドがつくことと、マンネリは、別のことだ。
何か始めたいと思った最近、ふとしたことで、ある歌人と接点を持った。僕はその人が歌人だと知らなかったが、全く別の場所で、その人のことが話されているのを聞いた。同姓同名の別人と思ったが、調べてみると、その人だった。僕はあの弱い力を感じた。その人の歌集を、買って読んだ。現代短歌の衝撃を知った。
安直な柾木は、歌を詠もうと思った。最近、詩は書けていなかった。詩より短い短歌なら、作れる気がした。出会った歌人の模倣から始まる、習作は一日でいくつも湧いた。
果敢なさと永遠さとを持つ故に少年という性を愛する
12才夕暮れ時の公園に溜息ついて座る横顔
ライン見る癖なき君との交信は 今日は水星、明日は木星
本日は交信状態良好で今夜の君はヲカヱリ地球
テント抜けスキー場に寝て指をさす「明るい星は、みんな木星!」
寝転んだ二センチ先に君の指触れるや触れずやみんな木星
今日もまた雌性と雄性、動物が付き合ひてをり交尾してをり
カイボウで学ラン全部ひん剥かれ「裸子植物」とバカにされたっけ
五千本の向日葵畑も枯れた頃 日暮れに唾液を交換したっけ
女の子とやってる君の夢を見てケモノ的な腰の動きに夢精
柾木はどうしてか、それまでひた隠しに欺いてきた情慾が、短歌に溢れ出るのを知った。怖いから短歌は止そうと思った。だが、衝動的に湧いてくる三十一文字を、書きとめるのは楽しくもあった。どうせしばらく続けるんだな、と思った。実際彼は、今度は歌人にならなれる気がしていた。(了)




