エピソード1
この物語はフィクションであり、登場する人物などは現実には存在しません。
メディア社会と言われる現在、至るところで目にするこのフレーズ。
物語はあくまで想像の出来事であって存在しない。だが誰かによって作られた物語で俺たちは心を満たすことができる。
俺、国府宮智樹はアニメやライトノベルが好きだ。
ある日、自分に隠された異能の力に目覚めたり、何処かの王女様が自分のクラスに転校してくるような現実ではまず経験出来ない物語であればあるほどワクワクし、胸が踊るのものだ。
ちなみに二次創作物が好きだからといって、現実の私生活を疎かにしてはいない。
都内の私立大学に通う俺はもうすぐで二年生となる。そして今は春休みである。
入学してからの一年は毎日がとても新鮮で楽しく、なかなか充実した毎日を過ごしていた。
たまに飲み過ぎが原因で講義を休もうかなんて思ったりもしたが、紗綾がそんなこと許すわけもなく、単位も今のところフルで取れていた。
紗綾はかなり頭がよくしっかり者である。そもそも、俺が滑り止めとして受験し入ったこの大学に何故来たのかは最初疑問に思った。
そこにも色々と理由があるのだが、紗綾は特待生として学費免除で大学に通っていた。
もちろん俺は普通に学費を払っている。
奨学金で通っているため卒業後から払っていかなければならないので、膨らんでいく金額を見ると少し不安にもなっていたが、今となってはどうしようないので諦めている。
んなわけで紗綾もいる俺は現実の生活に不満など特になかった。
俺は一人暮らしをしていたため、食事もコンビニ弁当や外食など多かったが紗綾がそれを許さなかった。
紗綾は家に来てはよく料理を作ってくれた。料理をしている彼女を後ろから眺めるのは最初、なんだかむず痒い感じがしたものだったがどこか感動もしていたのだ。
実家でも手料理などほとんど出ることなんてなかったので、久しぶりに食べた誰かの手料理に感動していたのだ。この頃には紗綾のことを好きだったと思う。
紗綾は容姿も良かった。大学生になると皆が髪を染めたがるのだが、紗綾は艶のある黒髪のままであった。
背は俺の肩に頭が来る位で160くらい。最初会ったときはどこか幼さを感じていたが、紗綾のことを知っていくと尊敬できる一面をいっぱい見せられた。
そんな外見と中身のギャップにも惹かれたのかもしれない。
とまぁ、自分で言うのもあれだが充実した生活を過ごしていた。