出逢い。そして、始まり
それは、たった一つの思い付き。そう。それが、俺、紅流の運命を変えた。いや、ねじ曲げた。
「これ、うまそっ」
夜、9時。テレビのCMが陽気に語りかける。シュークリームの魅力を。買いにいこうと決意する。
「ふん♪ふふん ♪」
早く食べたいとゆう欲望から足取りも速くなる。静まりかえる淡い月明かりに照らされた道。と、その時、「何か」にぶつかった。その何かは、全長二メートル弱、そして、その形は人に酷似しているが、人ではない。それを裏付けるのは「それ」が発するオーラが漆黒より暗く、だが、神々しくもある。そんなことを思っていた。すると、「それ」は不意に、本当に不意に、手と表すだろうか、振り上げた。その手は、俺に向かい振り降ろされた。
笑ってしまう。本当に。一瞬前まで俺が立ち尽くしていた場所には別の者が立っていた。また、人ではない。体が太陽のように輝いている。後ろ姿だから性別、顔立ち、その他諸々はわからないがその者が俺を助けたのは明白だった。
「ふん、こんな所にいたのね」
その者は漆黒より暗い者と会話する。
「グァァァァァ」
全くもって成立していない。
「今夜こそお前をって!まて!」
さっき俺を襲ったそいつは再び紅流に向かい、この世の者とは思えない跳躍力で俺の命の恩人の頭上を飛び越え襲ってきた。二度目の襲撃は成功した。してしまった。俺の身体には深い傷が刻まれた。
「おい!まさか!......起きろ!」
俺の恩人が問いかける。だめだ。意識が......死ぬ...か?
「くそっ。私のせいで」
焼けるっ!痛い、焼けるように!
「ぐぁぁぁぁ」
「もう侵食が?どうする?どうすれば」
恩人は自分に自問自答を繰り返す。
「契約......しかないか」
契約?なにを言って......
「我、天を照らす神、アマテラスなり。下界にてこの者と共に歩む事を誓う。アマテラスの名の下、この者を我の契約者と成せ!」
なんだ?アマテラス?神?契約者?どうなってんだ?訳が、訳が
「わかんねぇよー!」
......っ!体が、傷が消えてる?
「ふぅ。なんとかなったか?」
「一体なにが」
疑問ばかり募るなか俺はアマテラス、の方を見上げた。そこには可憐、華やか、魅力的、どんな言葉を使っても表せない美少女がいた。髪は腰まで届くほどの黒髪。すっと通った鼻筋。唇は見ているだけで惚れてしまうほど美しい。「......い、一体どうゆうことか説明してもらおうか?」
「あぁ。これから色々大変だしな」
意味深な言葉を発したアマテラス。
「とりあえず、ここじゃなんだ、俺んちにこいよ」
「あぁ」
「さぁ、説明してもらおう。まずお前ははなんだ」
自分でも不躾な質問だとは思うがこれ以外の聞き方が俺には見つからなかった。
「私はまぁ、神様だな。アマテラスってゆうさ。天照て書く」
アマテラスは軽く神様と言ってのけた。
「神様ねぇ......」
「あっ!お前、信じてないだろ!」
信じろと言うほうが無謀だ。
「まあな。まぁとりあえず信じてやるよ。」
俺は身体の傷のことを思い出していた。
「次に契約ってなんだ?」
「契約。それは、元々天界にいた神が下界で生きていくために必要なまぁ依り代みたいなもんだ。」
俺は一つ疑問に思う。
「お前は何でここってゆうか下界に来たんだ?」
アマテラスは何故かその瞬間「いい質問だ」とゆう顔をした。
「実は天界から、下界に降りる神が増えたんだ......」
「別にいいじゃないか」
「それが下界に降りた神々は天界を支配しようとしている奴らばかりなんだ」
その時アマテラスの顔はとても悲しいだが怒りが満ちている顔をしていた。
「それで、神々は下界で契約者を作りまず下界から支配しようと企んでる」
「支配......か」
「あと、下界を支配しようとして契約した神には闇のオーラが纏う」
はぁ。俺には全く関係ない話......だったんだよな。
「それで私はそいつらを止めるためにやってきたんだ」
話は大体予想は出来ていて、ほぼ正解。ったく、面白い世の中だぜ。
「で?俺は。契約者になったんだよな?」
分かりきっていることを聞いてみた。
「あぁ。お前と私はすでに一つだどちらが死ねばもうかたほうも死ぬ」
「一心同体てやつか」
「そうだな」
「でも契約者ってなにするんだ?」
「契約者ってゆうのはだなぁ。まず契約した神の力を使える。」
「神の力?」
「神によって使える力は違う」
「アマテラスはなにが使えるんだ?」
「まぁ、おいおい話すわ」
何故かはぐらかされた。
「それだけか?」
「まぁそれくらいだな」
これだけの話を聞いたのにも関わらず俺は意外にも冷静だった。
「ったく、とんでもないことに巻き込まれちまった」
「まぁ良いじゃないか。」
能天気、だな
「でも、俺の命を助けてくれたのは事実だ。その恩は還させてもらうぜ」
「あぁ。よろしく。私のことはテラスって呼んでくれ」
「分かった。俺のことは紅流でいいよ」
これが俺とテラスの出逢いだった......