FILE1:プロローグ
恋心は時に人の心の赴くところを変えてしまう…幸せな方にも…残酷なほうにも…
篠原慶志は街頭が煌めく冬枯れの街を見下ろしていた。
街はクリスマスに彩られ人々はそのイベントを待ち焦がれる。
ただ、今の彼にはそれは光の刃となって、突き刺さっていた。
彼は自宅のマンションの屋上が大好きだった。
まるで、恋する二人が寄り添うためにあるように小さいベンチ。
屋上は一応、立ち入り禁止になっていたので人は来なかった。
彼はふと、なんども想い描いた女の子の顔を想った。
狭いベンチに肩を抱き合って星と未来をかたり合いたいと思っていた女の子を…
その女の子の名前は三崎志保この女の子も淡い恋心を抱いている。
それは、慶志に向けられてはいなかったが
…そして彼女の好きな男の名前は、吉島一弥優しくて頭も良い、スポーツは万能、学校では人気があった。
慶志と一弥は高校一年の時に友達になって、それ以来の親友だった。
慶志は気軽に女の子に話しかけられるような性格ではなく寡黙なとこもあった。
慶志は志保と恥ずかしくてぜんぜん話しかけられなかった。
俗に言う三角関係のこの三人はだんだん、狂い咲いていくことになる…悲しみ、妬み、憎悪、慈愛、奇跡という養分を吸って……