元暗殺者、違和感の正体は⬛︎⬛︎⬛︎
少し修正しました!
「では、気をつけて帰ってくださいね。さようなら」
編入一日目が終わった。
(こんなに楽しいなんて、信じられない! 明日も楽しみだなあ)
ふんふん鼻歌を歌いながら帰る支度をする。
「ねえ虚! 一緒に帰りましょ!」
「もちろんです!(楽しみにしていたことその三! クラスメイトと下校!)」
こちらからお願いしたいぐらいだ。ますます気分が上がる。
「あ……皆さんも一緒に帰りますか?」
「あー、俺と千隼は用事があるんだよな」
申し訳なさそうに燐が言った。千隼もため息を吐く。
「そうなんだよねえ……」
「何するんですか?」
「【Minuit】の会議があるんだよ」
(【Minuit】……確か、暴走族だよね。え、入ってるの?)
「暴走族に入ってるんですか?」
燐はあっさり頷いた。
「ん。女子生徒以外はほとんどみんな入ってるぞ」
深く聞いてみると、千隼と燐が【Minuit】、縁と朔翔が【Aube】に入っているらしい。
「明日はうちの総長と【Aube】の副総長が第三体育館でタイマンすんだよ。今日はその作戦会議」
「?総長同士じゃないんんですか?」
「実はさ、うちの総長が誰だかはわかんないんだよなー!」
「えっ」
(トップがわからないまま入ったの!?)
いや……まあよくあること、なのかな?私も上司の顔も名前も知らなかったし……。
ちょっと混乱したが、陽毬が「はやくー!」と呼んでいるので早々に話を切り上げることにした。
「そうなんですね……では、また明日」
「おう。またな」
(約束された明日があるのって、気が楽だなあ)
そんなことを考えながら、さっさと帰路についた。
「じゃあ虚! また明日!」
「はい。また明日」
陽毬と別れて家に入り、ソファにポスンと座った。
(そういえば、理事長室の香水のこと、結局分からなかったなあ)
ふと思い出す。あれは、確実に嗅いだことのあるものだった。それも一度ではなく複数回。
「んー……任務先かな? でも、だいたいみんな殺し目的で近づくからないか……」
どこだっけ。頭が混乱する。
「ああー! わっかんない!」
頭を抱えてぐしゃっと髪を乱す。
そのとき、スマホがヴーヴーと音を立てた。
スマホを開くと、陽毬からメッセージが来ていた。帰り際、「連絡先教えて!」とねだられ、ついつい頷いてしまった結果だ。
(だって可愛いんだもん陽毬)
可愛いは正義。つまり陽毬は正義。
〈虚、今度一緒にお出かけしましょ!〉
〈はい、喜んで〉
「文面がすでに可愛い」
思わず呟いた。
メールだけで可愛さが溢れるってなんだ。私をキュン死させる気か。
はーっと息を吐き出して、背もたれにもたれかかった。
「考えてみれば、こういう年頃の話って、したことないからなあ……前の学校じゃ、勝気な女子とかクールな女子とかばっかりで、みんなおしゃれには興味なかった、し……――」
(___ぁ)
真逆。
急いでスマホを掴み直して、彼に電話をかけた。
「あの、突然すみません!聞きたいことがあって――」
『――――』
「……そうですか。ありがとうございます」
失礼します、と言って電話を切る。
わかった、かもしれない。
違和感の正体が。
「……確かめなきゃ」
裏付けが欲しい。
素早くスマホを操作する。ラックに電話をかけた。
通話は、ワンコールが鳴り終わらないうちに繋がった。
「もしも」
『呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンッ! 虚ちゃんの永遠のパートナーにして最高の相棒、ラックくんにご用かな!?』
「……うん。元気そうでよかったよ」
こんなときだというのに、思わず少し笑ってしまった。
いつもの口調。いつもの声。いつもの態度。
“普通”に接してくれることが私にとって嬉しくて仕方がないなんて、知らないんだろうな。
誰に対しても同じ態度で、明るくて、バカで、優しくて。
(これも、ラックの才能なのかなぁ)
なんて。
調子に乗るから、絶対本人には教えてやんないけど。
「ラック、実は――」
『いやあ虚ちゃんからの電話ってレアだからね! テンション上がっちゃった!』
「ああ……うん、そう……でね、私が電話したのは、」
『おおっと言うに及ばないよ! この名探偵ラック様にかかれば、その程度のことすぐに見抜けるのだ! ズバリ、あなたはラックくんの声が聴きたくなったのでしょう!』
「聴けよ人の話」
思わず低い声が漏れた。
(一瞬でもしんみりしてたのが馬鹿みたいじゃん)
いや馬鹿だ。もうぜっったい同じようなことにはならん。
『あっははー、ゴメンゴメン! で、どしたの?』
「今朝のあれ、どうなった?」
『あーあれねえ……千人以上の情報を調べるのも骨が折れるんだよねー。まあ明日の昼頃には終わると思うよ』
ハハハと乾いた声を漏らすラックに、死刑宣告をする。
「ダメ、朝までに終わらせて」
『はあっ!? 徹夜しても終わるかわかんないんですけど!? 鬼畜!』
「うるさい、なんとかして。あともう一個調べて欲しいのあるから。メールで送っとく」
『鬼ぃぃーーッ! 鬼すぎる!!』
「知らん。じゃあどっちも明日の朝までにね」
『ちょっ―――』
プツッと音を立てて切れた電話。頑張れラック。骨は拾ってやるよ、きっと。
そして、朝。
[全校生徒調査結果]
[――――調査結果]
「……うそつき」
ラックからのメールを読んで、私はそう呟いた。
こんにちは!璃衣奈です!
作品タイトルを変えました!
『暗殺者と暴走族と』改め、『元暗殺者、今日も今日とて最強です!』です!
よければ、この小心者の作者に、感想と評価をお願いします!
これからも、本作をよろしくお願いします!




