元暗殺者、試験受ける
マジでやりやがったコイツ、という千隼の視線は黙殺して、にこにこ笑顔を紫苑悠喜に向けた。
「紫苑さんは、副会長もやられているんですよね? それで【Minuit】の副総長でもあるなんて、すごいなあ」
私が思いついた策とは。
それは男装することだった。
私は思い立ったが吉日とばかりに、その日のうちに男装の準備を整えた。
蒼銀色のウィッグとカラコン。特殊メイクで目元と輪郭を変えて、チョーカーで喉仏の有無を隠して、急遽幸に貸してもらった大きめの制服で体格を誤魔化す。
あとは仕草を男性に寄せれば、そこにいるのは蒼銀色の髪と瞳を持つ小柄な美少年、氷高琉稀くんだ。
暗殺者時代の変装技術が活きたね!
そうして早々に問題を解決したため、早速千隼に紹介してもらった。
【Minuit】の副総長たる紫苑悠喜を。
そうして漕ぎつけたここ、学園のそばにある【Minuit】の本拠地の倉庫での新メンバー募集会。
この募集会は、半年に一度だけ開催され、この場で試験を受け【Minuit】に認めらせると、加入できるらしい。
これに私は喜んで飛び付いた。
なんとタイミングがいいことだろうか! きっとこれは神の慈悲に違いない! と。
てなわけで早速加入試験開始です。
ちなみに私は女だってバレたら一発アウトなハンデ付き。頑張るぞー!
「十三、か」
「今回少ないっすね」
十三というのは加入希望者の数だ。【Minuit】のメンバーらしき先輩方は一つ頷くと、「今から試験の内容を説明する」と声を張った。
「まあ試験といっても、要は実力を見せてくれればいい。これから君たちには、一対一で戦ってもらう」
「そこで負けても実力を認められれば合格になるっすから、諦めずに頑張ってくださいっす!」
そう締め括った先輩は、「じゃあ審査員の方達を紹介するっすよー!」と、ノリッノリで身を翻した。
「まずは、圧倒的な実力で加入早々に幹部となった【Minuit】の可愛い担当、水戸千隼ー!」
「よろしくね〜っ」
千隼はふりふりと手を振って、可愛くウインク。
「続いて中等部の副会長も務める優しき副総長、紫苑悠喜ー!」
「よろしく頼む。期待しているぞ」
どこか楽しげに笑う紫苑悠喜に、加入志望者達の士気が上がるのがわかった。
「そして最後は! 圧倒的実力とカリスマ性で【Minuit】を引っ張る我らが総長! 神楽坂光貴ィィーーッッ!!」
「「「うおおおォォォォ‼︎」」」
「……………………」
一応言っておくが、神楽坂光貴はまだ一言も発していない。さっきの野太い歓声は、【Minuit】のメンバー及び加入希望者達のものである。
「じゃあ君たち、このクジ引いてね。クジの先についた色ごとでペアが決まるよ」
「引いたらこっちに報告してくださいっすー!」
加入希望者達が続々とクジを引いていく。私は最後だった。
引いたクジは、まさかの色無し。
「あー今回の希望者が奇数だからね。おめでとう! 君は水戸とやり合ってもらうよ」
What???




