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元暗殺者、血の匂いがする恋を始めます。  作者: 璃衣奈
第一章 ゆーびきーりげんまん
24/26

元暗殺者、閃いた

 

「なんであいつらはボクを狙ったのか、ちょっと心当たりがあるんだよね」

「って言うと?」

「神楽坂光貴の暗殺に失敗してから、今まで以上に刺客が送られて来ててさ」


 なるほど、と深く納得して、口の中のチョコレートケーキを飲み込んだ。


「つまり、神楽坂光貴の暗殺を依頼した人物が、口封じに千隼、というか狂愛を狙っている、てこと?」

「まあ、それしか考えられないし」


 肩をすくめた千隼は、その顔に似合わないブラックコーヒーを啜る。あんなの飲んでどこがいいんだろ。

 口封じのための暗殺なんて、()()()()じゃ日常茶飯事。なんにも特別じゃない。


「ってことは、放置しかないカンジ?」

「だねぇ」


 千隼と目を合わせて、はあああっと大きくため息をつく。

 でもまあそれが最善だよねー……と思いかけて、気付いた。


 千隼を狙ったことから、敵ボスはよほど神楽坂光貴の暗殺が重要と見る。

 千隼は暗殺に失敗。となると敵ボスが次に取る行動は……次なる暗殺者を送り込むこと。


 あれこれヤバイのでは?? 神楽坂光貴死ぬ???


 それは困るぞ私のオモチャ‼︎ と内心で叫んだすぐに対策を考え始めた。そして。


 提案:私が近くで守れば良いのでは?

 修正点:学年違うしどうやるの?

 改善案:おんなじ暴走族グループ入っちゃえば?

 結論:それだ‼︎


 となった。我ながら完璧だと自負している。〈現在虚は、ストレスと怒りで情緒が安定しておりません。ご了承下さい。by作者〉


 で、ここで出てくる問題は二つ。

 どうやっておんなじ暴走族グループこと【Minuitミヌイット】に入るかと、女子の私が入って大丈夫なのかということだ。


 今はなんともありがたいことにラック調べで【Minuit】の幹部だと発覚している水戸千隼様がいるので、直球で訊いてみた。


「ボクが紹介すればいけると思うよ? でも性別が女子となると……うーん」


 とのことだった。

 だがそれはつまり、女子でなければいけるということである。実はさっきもう対策は考えてあった。


 ニヤァと笑って千隼を見やる。ここまでの一連の流れを見ていた彼は、「なんでそうなったの? 頭大丈夫……?」という視線をもらっていたが、これで手打ちにしてやるつもりだ。


「ねぇ千隼。【Minuit】の総長さんに紹介して欲しいなあ」

「え、いやだから、女子だと厳しいって……」

「女子じゃなきゃいいんじゃない?」

「…………ん? んん?? んんんんん???」



 __________________




「………へえ、小柄なやつだな。でも実力があるならいいよ、うちは」

「実力は確かですよー。ボクより強いので!」

「千隼より⁉︎ 相当だな。えっと、君は」


 千隼から視線を移した紫苑悠喜は、私を見て微笑んだ。イケメンの微笑みプライスレス。

 それに応えるように、私もにっこりと笑いかけた。


「はい。()()()()()()()です」


 蒼銀色の短い髪を揺らし、同じ色の瞳を細めながら。

虚が思いついた秘策。

それは、男装して潜り込むことだった。

…………いや、なぜ??

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