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元暗殺者、血の匂いがする恋を始めます。  作者: 璃衣奈
第一章 ゆーびきーりげんまん
22/26

元暗殺者、殺気立つ

 

「それで、虚ちゃん。さっきのことはどう思う?」


 ようやく落ち着いた千隼は、さっきまでとは打って変わって、真面目な顔になった。

 さっきのこと、とは。

 はてなと首を傾げながら、とりあえず今朝から今までのことを思い返してみた。




 __________________




「おはよう千隼。今日も可愛いね」

「おはよう虚ちゃん。でもそれボクのセリフゥ」


 外でも可愛いクラスメイトににっこり笑いかけたら、顔を顰めながらのこのセリフ。でも可愛い。


 今日はデート当日。

 美しい噴水で有名な広場で待ち合わせして、たった今合流したところである。


「千隼、なんか今日やたらとキラキラしてるね」

「それ褒めてるの?」

「褒めてる褒めてる」


 えへへーと照れる千隼。くっっそ可愛いな。


 黒い肩出しシャツにダボっとした白のパーカー。涼しげな水色の短パンと白い足のコントラストが眩しい。

 チャラリと揺れる翡翠色の首飾りが小洒落ていて、おしゃれ上級者という感じだった。


 髪型もいつものハーフアップではなく、下の方で括っている。……これ私浮くのでは??

 一応おめかししてきてはいるが、千隼のレベルがあまりにも高くて心配だった。


「おい見ろよあれ! めっちゃ可愛くね?」

「マジだ! 友達同士とかかな」

「あの子、男の子だよね? かわいー」

「デートかな? 年下系彼氏? いいなー!」

(カレカノと思われとる)


 そして一部の男性に女子だと思われている千隼が不憫だ。思わず憐れみの視線を送ったね。


「ねえその目ヤメテ。大丈夫、慣れてるから」


 つまり日常茶飯事だと。やっぱり不憫だ。

 でも気にしてないならいいか、と憐れみの視線をやめた。それに今日は千隼に同情するために待ち合わせしたわけではない。


「じゃ、オススメのカフェに案内して頂けますか、レディ?」

「…………千隼可愛いからあんまドキドキしない」

「そういうのは言わなくていいんだよ」


 気障ったらしい仕草で差し出された手は、とりあえず握っておいた。




 ---------------***--------------




 裏道に入って右に曲がって左に曲がって真っ直ぐ行って左に曲がって……とにかくクネクネ進んでいく。


 左右は建物に塞がれていて、成人男性が一人、ギリギリ入れるかどうかというくらいには狭かった。

 あちこちに古い排水管が張り巡らされていて、錆臭かった。


「……ねぇ、虚ちゃん」

「んー?」


 後ろからトコトコついてきていた千隼を振り返って、首を傾げて見せる。

 千隼は、やけに真剣な顔をしていた。


「どうしたの?」

「虚ちゃんは、神楽坂光貴が好きなの?」

「んぐっ⁉︎」


 突然なにを言い出すんだこの子は……‼︎

 ケホケホと軽く咳き込んだあと、努めて冷静に返事をした。


「あのね、違うの。確かに私は神楽坂光貴を堕とそうとしているけど、別に好きではないんだよ」

「じゃあなんで堕とそうと思ったの?」

「なんでって、そりゃあ……」


 なぜでしょう。

 容姿に惹かれたから? いや違うな。確かにかっこいいけども。

 財力に惹かれて? いや違うな。暗殺者時代の貯金がクソほどある。

 では何故なのか…………あ、あれだ。


「暇つぶし!」

「うわあ最低」

「失礼な。私のどこが最低……」


 自分の言動を思い返してみた。

 補足だが、私は神楽坂光貴を堕とすが付き合うつもりはない。


「…………最低かも」

「でしょ。まあもし虚ちゃんが悪女扱いされても、ボクのところに嫁いでくれればいいよ」

「いやそれだとお嫁さん二人になる…………ん、千隼ストップ」


 その時、殺気を感じた。それも複数。場所は上から。

 見上げると、左右の建物の屋根に得物を構えた黒装束の集団がいた。数はおよそ十。体格からして全員男。


 幸いというか、周りに人はいない。思いっきり暴れても平気だろう。


「虚ちゃん、武器は」

「ないよ、丸腰」

「ダメじゃん」


 ため息をついた千隼は、ポケットから出した折り畳みナイフを貸してくれた。ありがたく受け取る。


 ヒュン、と風を切る音が聞こえた。

 反射的に千隼の頭を押さえてしゃがみ込むと、頭上を弾丸が通過した。


 ()()()頭上を。


 避けられたのを見て、男達は一斉射撃に切り替えてきた。

 弾丸の雨が降る。

 狭い裏道では逃げ場がないため、とにかく逃げに徹しなければならなくなる。


 壁を蹴り、床を蹴り、時にお互いを蹴って逃げ回る。


(このまま遠距離攻撃を続けられると困るな……)


 ではどうしたらいいのか。

 簡単だ。()()()()()()()()()()()()()()()()

 足先に力を込めて、一気に屋根まで駆け上がる。壁を伝って。


「なっ⁉︎」


 驚愕の声をあげた男。その瞬間壁から足を離す。

 落下する直前、男の一人の首に腕を回して道連れにした。


 落下の勢いのまま、男を床に叩きつける。

 男は呻き声をあげてそのまま気絶。軟弱だなあ。


 折り畳みナイフの刃を立てて、見せつけるように男の首筋に添えた。

 調子が出てきたな、と薄い笑みを浮かべた。


「降りておいで。でなければこのまま首を掻き切るよ」

今日の虚のデート用ファッション↓

・お気に入りの白とピンクのワンピース

・耳にはうっすら桃色の入った雫型のピアス

・足元は涼しげなサンダル

・白のリボンを丁寧に編み込んだ髪型

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