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元暗殺者、血の匂いがする恋を始めます。  作者: 璃衣奈
第一章 ゆーびきーりげんまん
19/26

元暗殺者、罠に嵌められる

「おい女、さっさと答えろ。なんでここにいる」


 Q.この問いに私が最初に思ったことを答えなさい

 A.レディへの口の利き方がなってねえぞゴラ


 あらまあどうしたもんかねと思いつつ、目つき(と口の利き方)が悪い銀髪を見据える。


(うーん、顔立ちは整ってるし、声も低くて甘い。派手な色の髪なのに、不思議と似合う。イケメンだね)

「おい聞いてんのか。答えろ女」

(ただし典型的な俺様男子。若干の不良っ気もある)

「答えろっつってんだろ女。てめえの耳は飾りか」

(でもそこがまたいい、って言う人もいるんだろうな。私は好みじゃないけど)

「いい加減にしろやクソ女!」


 あ、怒鳴られた。

 ことごとく無視してはいたが、限界だったらしい。とりあえず困ったように笑っておく。


「すみません、間違えて入ってしまって……」

「……間違えて、ね。……本当に?」


 その瞬間、どこか嘲笑うように笑った俺様男子こと逢魔銀河。嘲笑が似合う。


(__まさかとは思っていたけれど、)


 気付けば、いつの間にか瞳を細めていた。

 ()()部屋に入ってすぐに気づいて、でもそのままにしていた。


(彼の反応を見る限り)

「俺はこの部屋に他人が勝手に出入りされるのが嫌いだ」

(この部屋には)

「だから、」


「「部屋中に簡易トラップが仕掛けてある」」


 彼は驚いたように目を見張った。


「気づいていたのか」

「当然です」


 言葉通りだった。

 一目で全て把握した。ドアに挟まれた髪の毛。意図的に置かれたホコリ。その数およそ二十。


 侵入者用のトラップくらい、私の部屋にもある。もちろん、この部屋のものよりも何倍も高度だが。

 ドアノブには即効性の猛毒。一歩踏み込めばワイヤーがその足を絡め取り、天井裏から無数の銃口が火を吹く。


 その様子をお茶請けに何人もの侵入者を葬ってきたことか。いやあ懐かしい。

 まあそんなわけで、そんな数多の高度なトラップを見てきた私が、この程度のトラップを見抜けないはずがないのだ。


()()()()()()()()()()()()()

「……あ゛?」


 あやっべ地雷踏んだ。

 一瞬でわかった。だってさっき以上に声が低くなって青筋が浮かんでるもん。


「喧嘩売ってんのか?」

「まさか!」


 もうどうにでもなーれとヤケクソ気味に笑顔を返す。


「こんなちっぽけなモノを作る人間に喧嘩を売って、何になるって言うんですか?」


 ぷちっ。


 あ、なんか切れたなと思って、すぐにその正体に気づいた。


「……そうか、ちっぽけ、ね……そうかそうか」


 ぎろり、と吊り目気味の目がこちらを射抜く。


「えっと、あの、素材は良かったと思いますよ? ただ作り手の腕が悪かっただけで」

「煽りにしか聞こえないわボケナスがああああ‼︎」


 言葉選び失敗。

 今後は言葉遣いには気をつけようと思いつつ、私は『第二回!チキチキ⭐︎大逃走』を全力疾走でスタートしたのだった。

その後逃げ切ったひと

「ふっ、乗り切った……! ん? あそこに見えるのは……あれSクラス!?」

『第三回!チキチキ⭐︎大逃走』開始。


逃げ切られたひと

「くっそあの女腹立つ……!! ……ん、待てよ。ドアのトラップは作動していなかったよな。じゃああいつどっから……?」

おおっと虚ピーンチ!

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