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元暗殺者、血の匂いがする恋を始めます。  作者: 璃衣奈
第一章 ゆーびきーりげんまん
12/26

億の情報を握る情報屋、デートの予行練習に付き合う

「それで狂愛と和解したんだ。で、そのデートが来週、と」

「そ」

「なるほどねー。そっかそっかあー……で」


 じとり、と目の前で紅茶を啜る美少女を半目で見つめる。


「な・ん・で、それで僕とデートすることになるのさ!?」

「予行練習」


 相棒の叫びを澄ました顔でさらりとかわす。ひどい女である。ぴえん。

 ここは街のとあるカフェ。いちごショートケーキと栗モンブランで話題の店だ。


「そもそもデートに予行練習なんているの? いらなくない?」

「いるにきまってんじゃん。何か失敗して嫌われっちゃったらどうすんの。泣くよ? 私」

(めっちゃ気に入られてんじゃん狂愛!!)


 内心で叫んだ。ちなみに狂愛、というか千隼だけでなく、Sクラスは虚の大のお気に入りなのだが、それを僕はまだ知らない……。

 ちなみに今の僕は柊木幸ひいらぎゆきである。


「というか予行練習の事実今知ったんだけど?」


 虚は先ほどそこそこ顔のいい男性店員が顔を赤くしながら届けた件のショートケーキにフォークをグサッと刺す。


「だって言ったら逃げられるかもじゃない。あ、おいし」

「逃げないよ!? 服装まで指定しといて何言ってんの」


 そう、今日の服装は虚に「デートするときの服で来て」と言われて選んだものである。題して、「夏の爽やかデートコーデ」!

 自分結構美形なの自覚してるんで、なかなかイケメンに仕上がっているはずだ。


 そういう虚もバッチリおしゃれしている。

 チェックのスカートにブラウンのブラウスは半袖で涼しげ。髪は三つ編みにして肩から流し、白いリボンが綺麗に映える。


 メイクも派手すぎず上品で、ティーカップを傾ける様子はドラマのワンシーンのよう。

 もともと素材が良すぎるので、少しおしゃれするだけで化ける化ける。


 ぶっちゃけ今も周囲からの視線が痛い。主に男からの。さっきの男性店員なんか射殺さんばかりに睨みつけてくる。男の嫉妬ってこわいね。


「まあいいけどさ……報酬はちゃんと払ってね?」

「え?」

「え?」


 時が止まった。


「……いや、これ依頼じゃないから。命れ……こほん。おねがいだから」

「いまぜったい命令って言いかけたよね⁉︎」

「気のせい」

(こいつぅ……)


 ギリギリ奥歯を噛み締めていると、不意に虚が小首を傾げた。僕の方が背が高いので、少し上目遣いになる。

 そしてうろうろと視線を彷徨わせて、恥じるように頬を赤くした。気のせいか若干涙目だ。


「……幸は、私とデート……いや?」

「もちろん喜んで‼︎」


 上目遣い&初々しい&うるうる涙目のトリプルコンボに秒で屈した。これに勝てる奴がいるなら僕は称賛の言葉と共にそいつをぶん殴れる。


「うう、敗北……可愛いぃぃ……」

「まあ私可愛いから」

「腹立つけど事実だから何もいえないっ」


 さすがである。自分の魅せ方をよくわかっている。さっきので店にいる大半の客が撃沈した。女性も含めてだ。


 おそらくそれは計算外なんだろう。何せ、本人は自分を『ちょっと普通より可愛いだけ』と思っているのだ。実際はちょっとどころではないのだが。


 絶世の美女という言葉なんて生ぬるく感じるほどの美貌。そこにモテテクを決めると、もはや敵なし。一般人ならぜったい女優かモデルだった。


「でも予行練習って、どこ行くの?」

「プランなら考えてある。早速行く?」


 荷物を持って席を立つ。レジで会計していると男性店員がレシートの裏側に連絡先を走り書きして虚に押し付けようとしていたので、取り上げて握りつぶして捨てておいた。すっごい睨まれたが、虚が「私は彼氏以外興味ないんで♡」と言って電撃失恋させていた。どんまい。

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