プロローグ 暗殺者、暗殺者を引退する
暗殺者を引退しよう。
十四になる年の夏、唐突にそう思った。
自分は生まれた瞬間から暗殺者だった。
両親は二人とも凄腕の暗殺者。政府に認められた、国が重宝するほどの。
その二人の間に生まれた自分も、暗殺者としての将来を期待されていた。
実際、その期待には応えられていたと思う。
自分には、人殺しの才能があったから。
五つで刃を握り、
六つで二つ上の兄達を負かし、
八つで初めて人を殺して、
十で一人前の暗殺者と呼ばれるほどになった。
一人前になってすぐ、窮屈な家を出た。
何百、人を殺した。
何千、人を殺した。
何百何千何万、殺して殺して殺して……__。
二年経てば、世界最強の暗殺者になった。
不自由なんてなかった。己の武器を自由に操って、ターゲットを殺して、莫大な報酬を得て。
不満も不自由も何一つなかった、筈だ。
筈、なのに。
その日突然、何かがプツリと音を立てて切れた気がしたのだ。
それからの行動は早かった。
予定していた一ヶ月の暗殺を三日で終わらせて。
上層部に引退の旨を伝えて、文句を言う奴らは(物理的に)黙らせて。
適当な中学校を選んで、転入手続きをして。
そして今日、私は。
暗殺者としてではなく、ただの一般人として。
生まれて初めて、普通の学校に通う。
__この、神楽坂学園に。
どうも、璃衣奈です。この度は本作を読んでくださり、ほんっとうにありがとうございます!
本作は、私がある日突然「小説コンテストに応募したい!」と母に言ったことから始まりました。楽しいですね小説書くのって。
さて、なぜ元暗殺者を主人公にしたのかというと、これは完全に私の好みです。暗殺者に暴走族。胸が躍りますよね。
次回作はこの後書きが終わったら書き始めます。乞うご期待ください。
では、また次回作で。