「サヤの信じる真カミサン伝説2とユリ編」
「では、後で論証しやすいように、
ユリ編をまず配布するわね。
5分もかからず読めるから、
目を通してね」
サヤは予め用意したユリ編の定番作をみんなに配布した。
「この子、目さえ、ぱっちりすれば相当の美人なのにねえ。
お父さんににて、縦も横も小さいから、整形でも無理ねえ、
もう少し、横だけでも広ければ整形すればどうにかなるのにねえ。
スタイルは私に似て抜群だし、惜しいわね」
とユリの母親はユリに楽しいことがあると
そういう嫌みを言っていた。
ユリに初めて彼氏ができて、
家に連れてきたときもそうだった。
「目だけでも私に似ていたら、
でも、この子、優しいしスタイルもいいから、我慢してね」
と。
結局、
その彼氏は凄いマザコンだったので、ユリの方から別れたのだが、
母親は、
「性格とスタイルだけじゃねえ。
ああいういい人は無理よね。
まあ、
お父さんのようにブ男でもいいから、
稼ぎのあるのを捕まえなさいよ」
と。
まるで、
ユリがふられたみたいな言いぐさをした。
ただ、
母親に毎週のように嫌みを言われて、
ユリは鏡を見るたびに、
この目だけ変わればと正直思うようになってしまった。
そして、
大学を卒業して、
入社後初めて好きになった人が、
他の同僚と立ち話をしているのをつい盗み聞きして
「あの子、目さえまともなら、女として見れたのになあ」
と言っているのをユリが聞いてしまったときは、
ユリはショックで3日も会社を休んだくらいだった。
そのときにユリは「カミサン」の存在を知った。
「カミサン」の都市伝説はもともとはひとつの話しだったらしいが、
尾ひれがついていくつもの話しが出来ていた。
ユリが興味を持ったのは盲目の少女の話だった。
盲目の少女が生きている人の眼球をくりぬいて
それをアルコールの瓶に入れて丸一日水も食物も一切何もとらず、
「カミサン、カミサン、カミサン」
と祈ると、
目が見えるようになったという話しだった。
盲目の少女が眼球が入っていたアルコールの瓶を見ると、
自分の眼球がそこにあったというはっきりいって、
馬鹿馬鹿しい話しだが、
ユリ自身は、
チャンスがあれば、
やってみる価値はあるように思っていた。
ある日、
ある道をとおりかかると、
目がぱっちりして瞳の綺麗な女が、
頭から血を流して倒れていた。
まだ、
息はあったが、
もう助からないようにユリには思えた。
そのとき、
どうせ助からない命ならと、
ユリは悪いことだとは思いながら、
彼女の大きく綺麗な瞳をいただいてしまった。
「お父さん、ユリが昨日帰って来なかったんですけど」
ユリの母親が寝ぼけ眼の父親に相談すると
「昨日は金曜日だ。年も年だし、男でもできたんだろう。
そのうち、帰ってくるだろう」
とユリの父親は心配しなかった。
母親も夫に言われ、
その日は気にもしなかった。
しかし、
ユリは次の日になっても帰らなかった。
そして、
次の日も。
そこで、ようやく母親は、
警察に捜索願いを出した。
そして、
数日後、
警察からユリらしい死体が発見されたとの連絡が
ユリの両親のところに入った。
何でも交通事故に遭い、
犯人に衣類をはじめ身元を示すものを別に捨てられた上、
山奥に放置されていた死体が、
書類に書いてあった、
ユリの身体的特徴に似ているというので、
身元を確認して欲しいという連絡だった。
両親は、
多分ユリだと思って慌てて確認に行ったが、
顔を見た瞬間別人だと揃って言った。
「うちの子はこんな美人ではないです」と。
結局、
その後、
両親のもとにユリが戻ることはなかった。
その後、
ユリだと思われた女性をはねた犯人が捕まった。
犯人は、
路上を歩いている女性には気づいたが、
その女性が、
こっちを向いていたので、
気付いて停止すると思ったので、
ブレーキーをかけずに直進したら、
その女性は、
まるで目が見えないかのように、
車にまったく気付かずにぶつかってしまった
と事故状況を主張した上、
多分、
その女性は盲目だったから自分にはほとんど責任がない
という弁解をしたが、
犯人がその女性の遺留品を捨てたという場所からは、
何も発見されなかったので、
犯人のその場しのぎの嘘ということで事件は処理されたとのことである。
(終)
「サヤさん、用意周到ね。2番を配布して、
22番を真カミサン伝説だと主張する段取りだったとは意外だわ」
と
もとめが本音を言う。
生徒たちは、
「原作はこんなに短く曖昧なんだ。
それに、
結構下手な奴が書いたんだな」
「最初、DVDで見たとき、意味がよくわからなかったわ」
「あたしが見たのは、もっと話しが長くて、結構、不気味だったわ」
「子供騙しよ」
と
それぞれ自分の意見を、
配布されたユリ編を読みながら、
独り言のように呟いていた。




