「素早いサヤと賢明」
ケンタが女子のいる階に行ったとき、 ちょうど、
サヤと賢明がみはるの部屋に入って行くのを見た。
ケンタが慌てて、
自分の部屋に戻ると、
たまおとふうたは土下座して
二人を説得する練習をしていた。
「どうしただすか」
「先に入られた」
「賢明とサヤのどっち」
「それが両方」
「やられただすな。
でも、変だすな」
「それより、5分いや2分後、
二人先行け、俺がその後すぐ行く」
「そういうことだすか」
「話しをしたのは五分と五分でも
こっちの方が長く話しができるだすな」
「そういうことだ」
たまおとふうたが、
みはるの部屋のそばまで行くと、
キミカとネネがみはるの部屋に耳をつけて、
盗み聞きしていた。
「ゴホン」
と
ふうたはわざとらしくセキをすると、
二人は何事もないようにふうたたちとは反対側に歩いて行った。
たまおが後ろを見ると、
もうケンタがいたので、
ふうたがみはるの部屋をノックする。
「どなたですか」
と
ひさめの声がしたので、
「僕だすが」
と
たまおが言うと、
しばらくして、
賢明とサヤが出て来て、
「あら」
とサヤが笑って、
部屋を出て行った。
「最後のお願いだすか」
と
たまおがわざとらしく言うと、
二人とも揃って
「最初」
と余裕で言って、
ケンタのいる方に向かって
堂々と歩いて行ってしまった。
「そういえば、
あの二人、正反対の意見なのに、
ずいぶん仲良さそうだったなあ、
それに二人揃って」
「裏取引でもしただすよ」
「それなら、いいことかもな」
「急げ」
と小声で
ケンタが指示をする。
「おじゃましてもいいだすか」
と
たまおが言うと、
「どうぞ」
と
ひさめが言った。
そして、
ふうたとたまおは部屋に入って、
扉を閉めると、すぐ、土下座した。
しかし、
意外にも、
みはるが先に
「わかってるぞ。
でも、一つだけ条件がある。
いいか。
あと一人は永久くんだぞ。
それをあんたたちから言ってくれないか、
ひさめのために」
と
みはるが少しテレくさそうに言うと、
「それだけでいいだすか」
「お願いできます」
と
顔を赤らめたひさめが言う。
「もちろんな。たまお」
「いいだすよ。
実は僕たちも、
僕たちだけでなく、
永久を入れてもらうよう頼むつもりだっただすよ」
と
たまおが正直に言うと、
「そうだったのか。
頼んで損したな」
と
みはるが照れくさそうに笑った。
「それと、
もちろん女子は、
みはるちゃんとひさめちゃんだすよ」と
たまおが当たり前のことを言うと、
「そんなの当たり前だろうが」
と
ふうたが言うと、
みはるもひさめも明るく笑いだした。
すると、
いきなりドアが開き
「俺もだぞ」
と言って、
ケンタが中に入ってきたので、
5人で大笑いした。
「でも、絶対、
僕たちが投票しても
おかしくないような話しをするんだぞ」
と
みはるが肝心のことを言い足した。
「そうだすな。
あまりにひどいと、
賢明とかサヤが文句言いそうだすからな」
と
たまおはそう言って笑った。




