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「賢明と涙の対面」
「あっ、今、音が向こうからしたぞ」
「たしかに、しただす」
「じゃあ、ちょっと叩くのやめて」
二人が叩くのをやめたとほぼ同時に、
扉が向こうからゆっくり開く。
「下がりましょう」
サヤの言葉にたまおもケンタも扉が開く位置まで下がる。
「ケンタ、たまお、サヤちゃんまで」
「賢明くん」
「賢明」
「賢明」
4人はおおげさだが、
抱き合い、
たまおが最初に泣き出すと
暗示にかかったようにみんな泣き出した。
「死ぬかと思ったよ。
ありがとう!」
「手が痛かったな」
「そんなのどうでもいいだすけど、
腰が痛かっただす」
「もう、二人とも」
ケンタとたまおのとんちんかんな言葉に
泣いていたサヤと賢明は笑い出す。
「ケンタ、たまお、サヤちゃんありがとう」
「僕たちは行動しただけだすよ」
「そうよ」
「そうそう。
そういうときの兵隊だからな」
「指揮官はサヤちゃんとみはる」
「あれ、みはるは」
「みはるちゃんも、
助けに来てくれたのか」
「みんなも、
オートロックが閉じないように待ってくれているよ」
「ありがとう」
賢明はまた泣き出した。
賢明は見かけによらず、
泣き虫だった。




