「もとめの部屋」
「先生が?
部屋の中で倒れてるかもしらないの」
サヤが教室に入るなり、そう言うと、
全員が教室を飛び出して、
もとめの部屋に向かった。
しかし、全員で声をかけても、
もとめからの返事はなかった。
「管理人室に鍵を取りに行こう」
ふうたがそう言うと、既に走りかけていた。
ふうたとたまおが管理人室に行き、
マスターキーを取ってすぐ戻ってくると、
ふうたがもとめの部屋の鍵を開けた。
しかし、
部屋の中にはもとめの姿はなかった。
「トイレだすかな?」
「風呂?」
「な訳ないだすよ」
「誰か確認お願い」
「ここは女子の誰かだな?」
「僕はイヤだな。
トイレの中で倒れてるかもしれないし」
「あたしも」
「あたしも」
「私も」
「えー」
女子の中で断りそこねたサヤの顔
をみんなが見つめる。
「わかったわよ」
サヤはあきらめたように、
そう言うと、
トイレに向かって歩いて行った。
「もとめ先生、開けますよ」
サヤが一声かけてから、トイレのドアを開けるが、
中には誰もいなかった。
脱いだ服ともがなかったが
、一応、浴室も探したが同じだった。
「もとめ先生が消えただすか?」
「だすか?
じゃなくて消えたんだ」
「どうして?」
「さあ」
生徒たちはその場で立ち尽くした。
「でも、部屋も荒れてないし、鍵もかかっていたから、
もとめ先生が自分の意思で、
どこかに行ったのだけは間違いないわねえ」
サヤは独り言のように呟いた。
生徒達はいったん教室に全員戻った。
「もとめ先生はどうして何も言わないでいなくなったのかなあ?」
永久がつぶやくように言う。
「だから、何か理由があるのよ」
サヤは、
もとめが何らかの理由で自ら姿をくらましたと思いこんでいた。
「事故とか、
事件じゃないだすかなあ?」
たまおは、
そうは考えていないようだった。
「腹減って、
食堂で何か食ってたら、つかえて窒息したとか」
みはるがバカなことを言って、
「あんたじゃないんだから」
と、
ひさめにおでこを叩かれた。
「でも、例えば、心臓とか脳の病気で
どこかで倒れたということは考えられるぞ」
ケンタが、
みはるよりマシな意見を言う。
「まあ、
病気か事故の可能性は否定できないな。
何人かでこの屋敷の中を探すか」
と、
賢明が提案する。
「屋敷にいればいいけどね」
サヤは冷たく呟く。
「とにかく、
探すだけ探しましょう。
そうねえ。
賢明くん、
永久くん、
ふうたくんの3人でどうかしら」
ネネが提案すると、
ほとんどが頷く。
「そうだな。
念のため、
女子はここにいてもらって、
強いケンタとおしゃべりなたまおを残すか」
と、
ふうたが言う。
「おしゃべりは余計だすよ」
たまおがそう言って、
ふうたのおでこを叩く。
「じゃあ、早速、行こう」
賢明がそう言うと、
3人は教室を出ていった。




