「賢明のカミサン伝説6」
「何、笑ってんだ、賢明」
みはるが賢明の不気味な笑いを気にして思わず訊く。
「みなさん、ここまでは知ってる話しと同じです。
多分、通常は
「おなかを痛そうにしていたおじさんは、
タロウに
「ありがとう」
とお礼を言いました。
タロウは
「じゃあ、約束は守ってね」
と手を振りながら去っていったのです。
タロウが去ると、
そのおじさんは腹から手を離し、
にやりと笑ったのでした。
しかし、
その後、
見えない像を見た者はいなかったのです」
で、
終了となる話しが多いようです。
でも、
最近僕が聴いた話しはもう少し具体的なのです。
「タロウが去ると、
そのおじさんはおなから手を離し、
にやりと笑った。
までは同じですが、
「しかし、
その後、
見えない像を見た者はいなかったのです」
ではなく、
次のとおりです。
「タロウはいったん家に帰ろうとしたのですが、
また、
家の鍵を落としたことに気づきました。
そこで、
さっきまでいた公園に戻ると、
おなかを痛そうにしていたおじさんが公園のベンチの上で、
ケラケラと愉快そうに笑っているを見たのでした。
そこで、
タロウは、
そのおじさんの方を見ながら、
「おじさん、早いね。
もうおなか直ったの、
アレ、
おじさん、布しか見えないよ。
さっきの場所から、
ここまでの間に像を落としたでしょう」
と言ったのでした。
タロウが探すと、
タロウの家の鍵は
さっきそのおじさんがいた辺りで見つかりましたが、
像だけはタロウが公園中探しても
見つからなかったのです。
「おじさん、大変だよ。
像がどこかへ消えちゃったようだよ」と
タロウが言うと、
そのおじさんは驚いたように、
「アレ、アレ、アレ」
と3回言った後倒れたのでした。
タロウも、
タロウに見えない像をあげた老人も、
そして、
例の少女も、
その見えない像が邪心を持つ者の手に渡った瞬間、
誰にも見えなくなることを知らなかったのです。
そうです。
見えない像は、
実は、
倒れたおじさんの手元の布の上にちゃんとあったのです。
以上です」
賢明はにやりと笑って話しを終えた。




