「賢明とサヤの対決3」
賢明は、壇上に立つと、
「えー、
サヤくんがぜんそくの発作みたいですが、
定番でもありますので、
話しをさせてもらいます。
えー、
ある繁華街で、
変な老人が雑誌の上に変な布をのせ、
「今、困ってるものはおらんか、
たった1日、
1000円で、
幸運をつかめるかもしれんぞ」
と
通りがかる人に声をかけていましたが、
その雑誌は、
大衆紙で特に珍しいものでもなく、
布も汚らしそうだったので、
誰も見向きはしませんでした。
「カミサンは知らぬか。
カミサンじゃよ。
カミサンを信じるものはここに来るのじゃ」
と
老人は声をかけましたが、
やはり誰も見向きもしませんでした。
「わかった。
500円でいい、どうじゃ」
と
老人は声をかけましたが、
そもそもそんな値下げくらいで、誰も近寄っては来ません。
「よし、ただじゃ。どうだ、持ってけ泥棒」
とも
老人は言いましたが、
やはり誰も見向きもしませんでした。
結局、
その日も誰にも相手にされなかったのです。
老人の目的はお金ではありませんでした。
そうです。
老人の目的は雑誌の上にある見えない像を
誰かに渡すことでした。
老人は自分より年上の老人から、
いくつも像をただでもらいましたが、
もらった際の手紙を読むと、
それがすべてカミサンの像だったのです。
しかも、
それぞれの使い道や効果も違い、
結局は恐ろしい代物だということに気づいたので、
カミサンのバチがあたらぬように、
希望するものだけに、
像を与えて、どうにか生きてきたのでした。
しかし、
ここにある像だけは
人が受け取ってくれませんでした。
何故なら、見えないからです」
賢明はここで一息ついた。




