「サヤの信じる真カミサン伝説9及び10「人首酒」編」
サヤは話しを続けた。
「ジュウロウが
住所地から探し出したところは、
やや都心から離れてはいて、
かなり古い建物でしたがとても立派な屋敷でした。
ジュウロウは、
素顔をマスコミ等で晒しているので、
サングラスに帽子を被って、
屋敷の入り口が見える位置で座って
待っていました。
途中、
警官に職務質問をされましたが、
サングラスをはずし、
こういうときのために
いつも持参している自分の本の写真を見せて、
小声で
「取材です」
と言うと、
その警官は、
「お疲れさまです」
と敬礼をしたのでした。
ジュウロウは、
昔、
本当に取材したときに職務質問され、
交番まで連れていかれたこともあったので、
有名になると、
こうまで扱いが違うのかなあと思ったのでした。
昔のジュウロウであれば、
腹立たしく思ったのでしょうが、
世間に慣れたせいか、
これが当たり前のように思えたのでした。
そして、
しばらくしたとき、
ジュウロウは、
後から突然肩を叩かれびっくりして腰を抜かしたのでした。
「ジュウロウ先生でしょう。
だめですよ。
真のホラー作家がそんな気の小さいことでは」
と
ジュウロウの肩を叩いた中年のオヤジがそう言って、
にやっと笑ったのでした」
そこまで、
サヤが話したとき、
「ねえ、サヤ。
全然、カミサンでてこないじゃないかあ。
本当にこれカミサン伝説なのか」
と
みはるが退屈そうに言うと、
「カミサンが出てくるのはこの後よ。
我慢して聞いてよ。
それとも、もう、休憩する」
と
サヤがにやっと笑って言い返したので、
「じゃあ、続けろよ」
と
みはるは少しふてくされたような言い方をしたのだった。
「続けます。
ジュウロウはその言葉と笑いですぐわかりました。
「あなたが手紙をくれたカイミヤマ様ですね」
「そうです。光栄です。
真のホラー作家にこうしてお会いできて」
「こちらこそ、
私の作品を理解していただきありがとうございます」
二人は互いに挨拶しあうと、
カイミヤマは、
自分の屋敷を指さし、
「あそこには先生ならぞっとする作品があります。
といっても、
小説じゃないですよ。
是非、
ここまでいらっしゃったなら、
ご覧になって帰ってください。
ますますいい作品が書けますよ。
といっても、
実は先生の作品からヒントを得たものですが」
と言うと、
ジュウロウはワクワクして、
思わずにやけた笑いをしてしまったのでした。
「そのお顔はOKですね、さあ」
カイミヤマが屋敷のベルを鳴らすと、
中年の冴えないババアが
「いらっしゃいませ」
と
頭を下げました。
「こいつは女中。
もっと美人がいいんですけど、
入院中のかみさんが変にヤキモチやくといけないんもので」
と
その女中のいる前で、
カイミヤマは笑って言ったのでした。
「先生は何がお好みですか?
緑茶ですか?
コーヒーですか、
紅茶ですか?
酒はまだ早いですしね」
「おかまいなく」
「じゃあ、いつものコーヒー二つ」
カイミヤマはそう指示して、
「このまま、
土足で結構ですから、
地下室に行きましょう」
と
笑って誘ったのでした」
「くだらねえ。
「かみさん」
やっとでてきたぞ」
と
みはるが、
またからかったが、
サヤは
「もう少し続けますよ」
と
にやりと笑って言った。
(続く)




