表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

104/353

「サヤの信じる真カミサン伝説7及び8「人首酒」編」


  「ジュウロウの方は

チビっと舐めるように飲んだ後


 「なんかぞっとするようなうまみがあるなあ」


といい、

 コワコワクエーはグイと一気に飲み干すと


 「うーん、これはヒヤッとする味だけど、

まろやけで、飲んだことのない酒だな」


とそれぞれ感想を言いました。

 「お二人の先生はさすがですね。

ぞっとに、ヒヤッとですか、

 そう言ってくれたのは、お二人だけです。

 私の酒作りの方向に間違いはなかった。

 ありがとう。

 今日は、他にも好きなだけ飲んでください」

 そういうと、

 マスターは似たようだが、

 微妙に違う酒を少しづつだしてきたのでした。

 「これは深い。

なんというか、人生をまっとうしたような味だ」

 「まさにそうだな、さすがだ」

 「これは悲しいなあ」

 「そうですか?わかっていただけましたか?」

 結局、

その日は3人だけで盛り上がったのでした。

 「今日は楽しかった。いくらだい」

 コワコワクエーは

マスターに値段を訊いたのでした。

 「だから、お代はいらないですから」

 マスターはかたくなに拒否しました。

 「プロは金もらわなきゃ」

 コワコワクエーが言うと、

 「でも、

そちらの先生は

タダであんなに怖い小説公開してんですよね」

 マスターが

初めてジュウロウの小説を読んでいたことを

告白しました。

 「やっぱり読んでくれていたんだな。

マスター。

 そう。コワコワクエー先生よー。

 ここはごちそうになろう。

 わからん奴だけから金を取る。

 そういうプロがいてもいいじゃないか」

 ジュウロウが言うと、

 「そうか。そういう考えもあるな、

 じゃあ、マスター、またな。

 今日は本当おいしい酒を飲めたよ」

 「じゃあ、ごちそうさま」

 「また、いつでも来てくださいよ」

 こうして、3人は別れたのでした」  サヤは話しを続ける。

 「ジュウロウは、

 翌日、

 前に誘われた編集者に電話して、

 ネットで公開している小説を出版することにしました。

 コワコワクエーたちと飲んだ際の

 「わからん奴だけから金を取る。

 そういうプロがいてもいいじゃないか」

という自分の言葉を実行するためでした。

 コメディ作品として売り出すことも、

 コミカルな絵を挿入することにも

抵抗はまったくありませんでした。

 そう思えるようになったのは、

 自分よりコワコワクエーの方が昨日飲んだ際、

 人格者に見えたからでした。

 出版した本は、

 ジュウロウが予想した以上に売れました。

 テレビや映画で映像化されてコミカルに茶化されても

文句のひとつも言いませんでした。

 ジュウロウはお金が入っても生活をまったく変えず、

小説を書き続けました。

 そして、

 例のバーで月1度、

 マスターの試作酒を飲みながら、

愚痴を言うのが唯一の楽しみでした。

 そして、

 ある日、

 読者から不思議なガラの封筒に入った手紙を受け取りました。

 ファンレターはたくさん来ましたが、

 どいつもこいつも面白かったとかテンポが素晴らしいとかという、

 ジュウロウにすればわかってねえなあという内容でしたが、

 その手紙だけは違いました。

 内容は簡単に言えば話しが怖すぎる。

 マネをする奴が出てくるから、

 あまり猟奇殺人ネタはやめた方がいいという手紙でした。

 先生の力量なら、

 殺人以外でも、読者を震えあがらすことができる

というお世辞のようなことまで書いてありました。

 ジュウロウは久々に喜びました。

 コワコワクエーやマスター以外にも、

 自分の小説を理解してくれる人がいたと。

 ジュウロウは是非その手紙の人物の顔を見たくなり、

 その封筒の裏に書かれた住所地に行ってみることにしました」

 サヤはここで一息ついた。

(続く)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ