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第3話 登校二日目でデートは異常である

「じゃあ、行こ」

 俺の前でスマホをポチポチと触りながら言う沙也加。

 そう、俺は今日デートである。なんと登校二日目でデートをすることになってしまった。これは青春なのか。

 連絡が終わったのかわからないが沙也加はスマホを鞄に入れ俺の顔を見る。

「今日はどこ行くの?」

 可愛い仕草をする。アイドルかよ。短い髪で綺麗な顔をしている。

 なんで俺なんだよ。絶対に隣に歩いて、いい男じゃないのは確かだな。

「そうだな、まずは..」

「あ、やっぱりあそこ行きたい」

 俺の意見を無視して言う。そして沙也加はニッコリと笑いながら、俺を引っ張る。

 他の人から見たら俺らってカップルみたいなことしてないか?

 そんな考えを浮かべながら俺たちは教室を出る。

「絶対に地獄に落してやる」

 なんか聞こえたが、聞いてないことにしよう。



 本当にここで合っているのかよ。

 沙也加が行きたい場所はなんと遊園地だった。

「そう、ちょっとお化け屋敷行こうよ」

「え?」

「さ、行くよ」

 俺を引っ張って歩き始める。

 あのー俺幽霊が一番怖いんですけど。

 けど言える雰囲気ではないな、ここは俺が男になってやろう。

 自分でも何を言ってか分からないが、要は沙也加には楽しんで欲しいから俺が我慢をする。



「ねえ、さすがに握りすぎじゃない?」

「あ、ごめん、ちょっと怖くて」

 お化け屋敷を出てから五分。俺は怖くて沙也加の手を自然と握っていた。

 本当に悪気はないんだ、ただ怖くて。

 やっぱり幽霊が一番怖い。よく、人間は一番怖いとか言う人がいるけどあれは嘘だ。

「もーしっかりしてよ」

「ごめん」

 ふ、っと自然と笑う沙也加。それを見て俺は恐怖心が消えていて、可愛いなと思う気持ちでいっぱいだった。

 これが俺の求めていた青春だったのかもしれない。

 俺たちはベンチに座る。

 空はだんだん薄暗くなっていた。

 流れてい行く雲。沈んで行く太陽。

 綺麗だな。

 お腹空いたな、なんか買って食べようかな。

「なんか食べたいのある?」

「もしかして奢ってくれるの?」

 沙也加は俺のことをパシリだと思ってるのかな?

「さすがに迷惑掛けたから俺が奢るよ」

「やったー。じゃあ、クレープお願い」

「おっけー、じゃあちょっと待っててね」

「うん」

 俺は立ち上がり、クレープ屋に向かって歩き始める。

 クレープ久しぶりに食べるな。

 クレープって本当に美味しいよな、あのふわふわの生地とか最高。

 俺は列に並んで、チョコクレープを二つ注文する。

 チョコクレープを手に持ち。沙也加の待っているベンチに向かう。

「お、来た来た」

 ワクワクしてたのが声色で分かる。

「ほら、チョコクレープ」

「お、センスあるねー」

 嬉しそうにクレープを受け取り、食べ始める。

「写真とか撮らないのか?」

「なに、もしかして匂わせとかしたいの」

「いや、違う、違う、その、なんか写真とか撮りそうだなって」

「あー、私結構そんなの興味無いんだ」

「そうなんだ」

 そう言い、沙也加はスマホを取り出す。そして俺の方にスマホを向ける。

 カシャと音が鳴る。

「へ?」

「思い出の写真」

 クレープの甘さは消えていて、彼女の仕草の方が甘かった。

 「可愛いなそれ」

 自然と零れる。

「ちょ」

 照れている仕草をする。

 これが青春だな。沈んで行く太陽を眺めながら、こんな可愛い沙也加とクレープを食べれるって、青春以外の言葉が見つからない。

 そして、俺たちは沈んで行く太陽を眺めながらあんまり甘くないチョコクレープを食べた。

 沙也加は、沈んで行く太陽と同じように、顔が沈んでいた。

 そして、俺がなんでも許してくれて、優しくて、私だけを味方してくれると思っているかのように沙也加は言う。

「私、彩音って子大っ嫌い」

 やっぱり、俺の青春は普通じゃない。

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