道中
三題噺もどき―よんひゃくななじゅうさん。
晴れた空が頭上にひろがる。
ジワリと汗をかくほどに暑い日々が続いている。
これでまだ六月半ばというのが信じられない。
これからさらに暑くなると考えると恐ろしくて仕方ない。
今年は電気代とかも馬鹿にならないから、下手に冷房もつけられないのに……。
そう言って、我慢をして熱中症にでもなったらさらに馬鹿にならない金額を落としそうなので、色々と要注意だな……。
正直、熱中症というものになったことがないし、周囲でそういう場面に遭遇したことがない。だから、対処の仕方も分からないし、自覚症状が分からないだろうから……怖いよな。
「……」
とりあえずは、ダイエット目的で始めた水分補給を続けて居ればいいかなという感じではある。
これは、昨日から始めたことなので、続くかどうかは今のところ不明だ。
でも、これだけ暑ければ水分は必須になりそうだ。
「……」
本当は、水筒とかを持ち歩いていた方がいいんだろうけど。
しかし、これから向かう場所は飲食禁止なので、小さめのペットボトルをさっきコンビニで買った。あまりに喉が渇きすぎて、ヤバイ。
そんなに距離歩いていないはずなんだけど……。なんというか、梅雨時期独特の、ジメジメした暑さのせいで大量の汗をかくほどではないけど、暑い、みたいな感覚になっていて、不快感がものすごくある。
「……」
もう少し涼しい時間に出ればよかったかなぁ。
でも、閉館時間というものもあるし、涼しいかもしれない時間帯は学生が多くいそうで避けたいのだ。この時期って、タイミング的には、テストの時期だったと思うし。
来月あたりから夏休みだったりするんじゃないか。
「……」
ついさっき買ったペットボトルの水を一口飲む。
信号待ちをしているこの隙に……歩きながらとか、器用なことできない。
何かをしながら歩くのって意外と才能なのではないかと思う。それが他人の邪魔だったり、何かの事故につながらないものに限るが。ながらスマホとか最近当たり前のように見るが、危なっかしい事この上ない。
今も目の前に信号待ちをしながら、スマホをいじり、イヤホンをしている人が居る。
かなり道路ギリギリで待っているけど、それでも危ないのに、これで信号に気づかず歩き出したら、車が悪いというのだから、やってられないよなぁ。
「……」
信号が変わり、歩き出す。
何本もひかれた白線の上を進み、ながらスマホの人を追い越す。
遅いし、ふらふら歩くし、邪魔で仕方ない……そのまま電柱にでもぶつかればいいのに。
―とは思っても居ないが。事故らないことを願おう。
「……」
歩きなれた道を進んでいく。
そういえば、この間ようやく気付いたのだけど。
ここの道沿いに、実は小さな写真館があったのだ。
最近開いたばかりなのか、外観はかなり綺麗で、いかにもおしゃれな感じの雰囲気。
どうやら、ニューボーンやら、マタニティやら、そちらの方をメインにやっているらしい。
「……」
いくつかの写真が並んでいたが、うん。最近の流行りって感じ。
柔らかな雰囲気と、こう……ボタニカルな感じ?なんていうんだろう。ドライフラワーなんかをたくさん使って撮っているらしい。とにかく、おしゃれだなぁと言う感想しか私には浮かばない。
「……」
こういう、写真館には全く縁のない人生だったから、一度撮ってもらいたい気はするよなぁ。
幼いうちから、記念を撮っていくのは大切なことに思う。
七五三とか、いい記念になるだろうし、お宮参りもあるだろうし。
単純に卒業入学記念とか、成人式とか、節目節目にそういうことをするのはいい記憶になる。
残念ながら、そういうお参りや成人式に行っていない私は、着物とかととんと縁がない。着てみたい気持ちは実はあるが……ま、もういい年だし。
「……」
その写真館の前を通り過ぎ、そのまま真っすぐ進んでいく。
この辺りは昔から変わらない。
いや、中身が空っぽになっただけのものが並んではいるけど。
すぐに、あの写真館みたいに新しい何かが入るだろう。
「……」
それからは暑さと戦いながら、水分補給をしつつ。
一番近くのコンビニで、ごみを捨てさせてもらって。
また帰り際に寄ろう。
あそこは涼しいが、外はずっとこの暑さだろう。
これで、風があれば多少マシになるかもしれないが、今の時期生ぬるいだけで、涼し気はないよな。
「……」
少し道をズレ、奥まったところ。
他の建物とは雰囲気の違う、正方形の建造物。
入り口には、図書館の文字。
「……」
とりあえず、さっさと涼みたいので。
そそくさと、自動ドアをくぐっていった。
お題:図書館・白線・写真