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絵の友人

「あなたの絵が好きです。お友達になってくれませんか?」


その女性に声をかけられたのは、とあるグループ展でした。


私は初参加で、「こんな所に自分の絵を展示してもらえるんだ」と、それだけでワクワクしていました。


気さくで活発なその女性は、むしろ私が憧れてしまうぐらいの方で、喜んで連絡先を交換し、ご飯を何回か食べに行ったり、お家に招かれたり。


けれどその直後から私の生活は大きく変わり、むしろ描くことからは遠ざかってしまったのです。


彼女の方は「手を動かすことが好きなの」という言葉通り、仕事のかたわら絵だけでなく手芸や映像、いろいろな作品を創り続けました。


小説に限らず、創作者というものは息をするようにどんどん作品を創りあげます。


ある時またグループ展の案内がきて、わたしは作品の中から選んで、彼女が造った小さな人形を買いました。


「粉雪さんも絵を描いてね」


お会計をしてくれた彼女はそう言いながら、袋に包んだ人形を渡してくれました。


彼女は私の絵が好きで友達になってくれたのに、絵を描かない私は友達甲斐のないヤツです。


その時は言葉を濁し、それからしばらくたって引っ越しの挨拶とともに、ひと言添えました。


「小説を書こうかと思っています」


その後も実際に書き始めるまで、だいぶ時間がかかりました。


小説でもあいかわらず、まわりがどんどん書いているのに、私は何だかノロノロしています。


2年で7冊出版というと多いのですが、一度書いた原稿をずっと直していただけのため、私からすると『書けてない』のです。


そしてここまで書いて。


(本を出したよって彼女に知らせてないなぁ……)


と思い出しました。彼女の方も引っ越したりいろいろと転機があって、いつの間にか疎遠になっていました。


(知らせたら何て言うだろう……やっぱり『絵を描いてね』と言うかしら)


もう以前のように手は動かないけれど。


絵もちょこっと描いてますよ。

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