秋の夜長
読むよりも書く方が楽しいですが、たまに読み専に戻ります。
読んでいる最中楽しくて、話も面白いと感じて、読み切って満足します。
充電大事。
ところが今回はいつもと違いました。読み終わった後、なんだかスッキリしません。
「いや、すっごく面白いと感じたんだけど……なんか疲れちゃった。こんなに面白い話を書く人がいるんだから、私が書く必要なんてないかなとか考えたり……なんか後ろ向きだよねぇ」
(気分転換にもならないなんて、やっぱ疲れているのかなぁ……)
家族にそうこぼしたら、あっさり返されました。
「それはさ、あんまりいい読書じゃなかったんだよ。だって本当に面白いのって、読むとエネルギーをもらえるでしょ。粉雪は感動すると反応がいいもの」
それはストン、と入ってきたのです。
「そっか……話は面白いし、読んでいて楽しいと感じたけど、いい読書じゃなかったのか……」
読み終わった時のほわほわして満ち足りた気持ち、読むだけで力が湧いてくる感覚……いい物語って読むとエネルギーが大きく動きます。
読者としてそういった作品に出会うことは贅沢でも切実な願いですし。
(作家としてそんな作品を書くことは、魅了されるけれど難しい……)
ちょっとそんなことを考えたら気持ちを切り替えて、次の物語に旅立ちました。
秋の夜長はまだ続くのです。