自分にしか書けないことを形にする
思い立って小説を書き始め、運よく半年で書籍化されたのはいいのですが、なにせ初心者ですから壁にブチ当たりまくりです。
今も編集長が言ってることの半分ぐらいはよく分からないし、小説の書き方は本を出しながら、なんとなく体感で覚えていってます。
うっかりするとそのまま本として世に出てしまうから、原稿の見直しも必死にして、文章は少しずつマシになってきたかも。
1巻のときは校正の方も大変だったと思いますが、7巻では直しもぐっと減りました。
けれど本の原稿を準備するのに慣れてくると、今度はWEB版をテンポよく書けなくなりました。
会話重視で主人公の独白で進むことが多いWEB版は、読みやすく飽きさせず、引きで次回に期待を持たせることが大事。
書籍ではもっと細かい説明が必要で、さらに書きこんで場を盛りあげる工夫もします。
WEB版ではあんなに印象深かった引きも、一冊の本になると本文に埋もれて目立ちません。
本になることを考えて書くと、WEB版の文章が間延びして見えるのです。
あ、この数行要らないな、と思う文章をつい書きこんでしまう。
「ええとこの場面でキャラの配置は……それでセリフをしゃべっているヤツ以外のキャラの表情は……」などと考えてしまって、文章が増えるのです。
走るように書いて、「次はどうなる?」と思わせないといけないのに。
何より書いている自分が楽しくありません。
「文章も絵もヘタだし、おもしろい話を書ける気がしない~~」
何だか自信がなくなってグダグダしていたら、家族から喝が入りました。
「あのさ、文章も絵も上手い人なんて山のようにいるけど。『自分にしか書けない』ってとこに価値があるんじゃないの?」
ハッ、たしかに『魔術師の杖』は私にしか書けない……。
上手い、下手なんて関係ない。
自分にしか書けないことを形にする、それが大事。
忘れないようにここに書いておきます...〆(・_・)