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とりあえず何か書く  作者: 粉雪@11月1日コミカライズ開始!


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クリームパン

今日は近所で見つけたクリームパンのお話。


ふだんは自転車でウロウロする近所を、雨が降ったお休みの日、傘をさして出かけました。


午前中に用事を済ませ、そのまま帰るのはもったいないな……と、少し回り道をして帰ることにしました。ちょっとお腹も空きましたし、遅めの昼食を食べて帰ることにしたのです。


(確かこの辺にカフェがあったはず……)


私が探していたのは、窓から庭の緑が見えるお店でした。なかなかくつろげる場所なのです。


けれどその手前に気になるお店を見つけました。


そこはカフェというより、イートインのあるパン屋さんで、ウィンドウには食パンやベーグル、クロワッサンなど十五種類ぐらいのパンが並んでいます。


実は私、クリームパンが好物で。


鯛焼きはあんこも食べますが、クリーム鯛焼きも好きです。


そのパン屋さんにもクリームパンがトレイにひとつ載っていて、「一番人気」とpopがついていました。


(へぇ、一番人気なんだぁ)


そう思いつつも、イートインメニューのホットサンドとコーヒーのセットを頼みました。


ランチタイムを過ぎた時間帯で、雨が降るまだ肌寒い日です。


お客さんは私だけで、オリーブが添えてあるぶ厚いホットサンドを味わっていると、ひとりのお客さんがやってきました。


「あったわ、クリームパン!」


「最後の1個なんですよ」


店員さんとそんなやり取りをして、お客さんは嬉しそうにパンを買って帰りました。


(そんなに美味しいのかしら……)


空になったトレイが気になります。


それからまたモグモグとホットサンドを食べていると、花柄の傘をさして淡い色のレインコートを着た、二人連れの淑女が入ってきます。


「あら、クリームパンが売り切れてる」


ひとりはそれがお目当てだったらしく、残念がります。


「しかたないわね、アンパンとそれに食パンを買っていきましょう」


(このお客さんもクリームパンが目当てとは……)


それからもモグモグとホットサンドを食べていると、今度は車で乗りつけた紳士が足早に店へ入ってきました。店内の商品をざっと眺めて、残念そうな顔をしました。


「なんだクリームパン、売り切れなの?」


「えぇ、そうなんですよ」


「雨なのに?」


そう言われた店員さんは、苦笑しています。


紳士はパッと気持ちを切り替えたのか、ベーグルと冷蔵庫にあるタマゴサンドをトレイに載せました。


(あんな所にタマゴサンドが!)


タマゴサンド好きな私はそっちも気になります。残念なことにそれも最後の1個でした。


こうなるとがぜんクリームパンが気になります。


ホットサンドに使われているぶ厚いパンも美味しくて、もっちりとしてしっかりと甘くて食べ応えがあり、食パンを買って帰るお客さんがいるのも納得です。


そんなことがあってからひと月後、そのパン屋さんに行ってきました。近所とはいえ生活圏からは外れた場所にあり、なかなか行けなかったのです。


その日はちゃんとクリームパンはありましたが、タマゴサンドは売り切れでした。


ようやく買えたクリームパン。


家に帰ってからほくほくとお皿に載せて観察。


切れこみはなくレモン型でふっくらしており、表面にはツヤツヤとした光沢があります。


いざ実食。


外側の皮はパリッと硬く、中はふっくらモチモチ、そしてクリームにはバニラビーンズ……しっかり手作りのカスタードクリームでした。


……そっちかぁ!


文句なく美味しいのですが、パンが主役で上品な甘さのカスタードクリームはその引き立て役。


(ちょっと違うんだよなぁ……)


そう思ってしまったのは、お腹が空いていなかったからかもしれません。


でも家族とおいしくいただきました。パンもクリームも手でしっかりと作られていて、人気があるのもうなすけます。次は別のパンを食べてみたいですね。

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