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挙動不審
パソコンの前で椅子に座って、両腕をブンブンしてたら家族に不審がられました。
「何してんの?」
「えっ?両腕が氷漬けになって、困っているところを想像してた」
「……へぇ」
またある時は、ご飯の後にお茶を飲んでいて、向かいに座る家族から心配されました。
「そんな悲しそうな顔してどうしたの?」
「えっ?悲しそう?」
「めっちゃ眉さがってるけど」
「あ、小説の会話シーンを頭の中で再現してた」
「……へぇ」
あとはよく注意されます。
「話聞いてた?」
「あ、ごめん。小説のこと考えてた。何?」
「……もういい」
どうも小説の世界に入ると何も聞こえず、何も見えなくなるようです。気づいたら数時間経ってたりします。
だから私は専業作家なんてやらない方がいいと思います。そうしないとあっちの世界に行きっぱなしになるから。
別の仕事しててちょうどいい。
家族の時間も過ごしていてちょうどいい。
たぶんそんな感じです。





