文章なんてヘタでもいい
私が『魔術師の杖』の前に書いた長文って、大学の卒業論文です。小説なんか全然、書いたこともありませんでした。
とはいえ小学校で夏休みの宿題に書いた物語が、原稿用紙50枚の冒険物でしたから、その頃から書きだすと長かったのかも(汗
そういえば小3の時に、『ごんぎつね』の続きを原稿用紙10枚書いてハッピーエンドにしました。私の小説歴はそれぐらいです。
文章なんてヘタでもいい。
素人の新人でも一生懸命やったから、プロである編集者やイラストレーターさんたちが力を貸してくれたのです。
書籍化……華やかで憧れる言葉ですが、大変です。
最初に言っておきますが、みなさんがイメージする華やかさは全然ありませんし、オススメはしません。
なろうで楽しく書けるなら、それが一番。
私は「まぁ、こういうチャレンジも面白いか」と思ってやっています。本業も別にあるので気楽なんです。
やるなら真剣勝負ですし、勝つためにはどうするか考えます。
確かに条件は悪かったです。素人の無名の新人、レーベルも創刊したばかりで世に知られていません。
書籍化するならみなさん、コミカライズもしてほしいだろうし、もっと宣伝してもらって、いろんな書店に本を置いてもらい、何ならアニメ化だってしてほしいでしょう。
でもそれ全部、「してほしい」「してもらう」ことなんです。自分がやる訳じゃない。
誰かが「この作品をもっと世に広めたい」と思わなければ始まりません。
手持ちのカードが揃っている状態で始められるのは、ほんのひとにぎりです。
私が勝負に使える、手持ちのカードは限られたものでした。
そんな状況で「これじゃダメだ、成功するわけがない」と考える人と、「どうやったら成功するか」を必死に考える人間では、手にする結果が違います。
プロになりたければ、プロと同じ土俵に立たないといけません。
そうすると見えてくる世界が全然違います。
文章なんてヘタでもいい。
むしろ自分が素人なのだと自覚して、真摯にひたむきに取り組む方がいい。
必要なのは真剣さ、一生懸命さです。もちろん一生懸命やっても、生き残れるかの保証はありません。
だってプロの作家さんはみんな、ものすごく真剣だし、ホントに必死ですからね。
それでも必死な作業の根底には『書く楽しさ』があります。
バシッとセリフが決まった時の快感、いいフレーズを思いついたときの高揚感、己の筆一本で世界を創りあげていく興奮……楽しいことがたくさんあります。だから続けられます。
書籍化には喜びも苦しみもたくさんあります。けれど出来上がった本たちは、自分の宝物になるんだろうな……と思えるから。
ヘタなりに、キラキラしたものをお届けしたいです。
ちなみに卒論タイトルは『マウスの大動脈平滑筋細胞における薬物動態』でガチ理系でした。微分積分大好きですが金勘定はできません。





