書籍化作業でしていること②
最初の校正原稿が返ってくるまでの時間は、他の本の進み具合によってまちまちです。出版社は常に何冊も本を作っているため、担当者の手すき具合にもよるのでしょう。
イラストをつけるのはほぼ最終段階ですが、この時にどんな場面、キャラクターを表紙、挿絵にするか決めて打ち合わせておきます。
衣装の変更があった場合、校正原稿のチェックをする際に改稿し、文章をイラストに寄せていきます。『魔術師の杖③』の表紙は、本文では鎧姿だったライアスを騎士服に変更したため、該当場所をすべて修正しました。
実際に出来上がったイラストを見て、アクセや小物の描写を追加したりと、校了直前に原稿を直す場合もあります。
・校正原稿のチェック
原稿が返ってきてやることは校正箇所、つまり赤が入っている場所のチェックです。ついでに自分でも文章を再度見直します。
読者目線で読み、引っかかる場所を修正していきます。それこそ一言一句舐めるように見ていきます。
1日かけてチェックできるのは50ページ、250ページの本なら5日間かかります。私は兼業で他に仕事もあるため、2週間はもらっています。
見直しは気になり始めるとキリがありません。どこまでも直したくなりますが、キッチリ終わらせるためにも期間を区切ります。
ここで気をつけるのは、なるべく文章量を変えないこと。細かな修正はページ数を変動させないように手を加えます。気になる表現を書き直すにしても、元が3行なら3行で収まるように書き換えます。
ネット小説と違い、書籍は「紙に印刷するもの」という制約があるのです。
何回か編集部とやりとりするうちにページ数もハッキリしてくるため、文章量をさらに細かく調整します。
紙の本だと「あと数行減らせば4ページ減らせる」ということもあり、ふたつのセリフをひとつにまとめたり、改行せずにすむよう冗長な表現を削ったりします。
1ページを減らすために数十ページかけて細かく手を入れる場合もありますし、逆に「増やせる」となったら、キャラクターの心情や情景描写などをさらに書きこみます。7巻はギリギリまで攻めました。
なんだかんだこの作業もけっこう時間がかかります。原稿が編集部と作家の間を行ったり来たりします。そしてWordのファイルがどんどん重くなるのです……。
自己流なのでこれが正しいのかもよく分からないです。
出版社の方は素人のこちらに合わせて作業して下さってますしね。
初稿の段階でしっかりまとめ、校正後の直しは少ないほうがいいんでしょうけど、時間をおくことで見えるアラもあるので……。
何回も同じ原稿を読むのは苦しくなる時もありますが、読む人は何度でもくり返し読むということを念頭に置いてやります。ミスをゼロにすることは難しいですが、見つけると気になってしまうでしょうから。