デビューの経緯
なろうには出版社からの『声かけ』があります。
他の投稿サイトは声かけ禁止のところもありますが、なろうは出版社も検索をかけて探し、作家さんに声をかけることができます。
コンテストタグがついていると優先権が発生しますから、あえてそこに割り込んで声かけすることはないそうです。だから選にもれた作品は、他の出版社からみると逆に声かけのチャンス到来なんだとか。
『魔術師の杖』が書籍化したのは、なろう経由で出版社から声かけをしていただいたのがきっかけです。連載開始して10万字くらい書いた時に、お試しで出した出版社のコンテストにはあっさり1次で落ちました。
まぁダメ元ですし、「もう少し話が形になったらまたどこかに応募してみよう」とそのまま書き続け、その2ヶ月後にたまたま創刊メンバーを探していた、いずみノベルズの編集長の目に留まったのです。
『メッセージが来ています』という赤文字をクリックしたら、運営様からの『書籍化打診のご連絡』というタイトル。
ひゃあ、と思いました。
目を留めたポイントは「職業もの」「錬金術という切り口が面白い」「ヒロインがピカイチ」だそうです。
それからはバタバタでした。振り返ってもよくやれたなと思いますし、つらいこともありました。それでもできた本は宝物です。
もしも最初のコンテストに通っていたら、今とまったく違う本になったでしょう。あっさり1、2巻で打ち切りだったかも知れません。結果的に今7巻まで出せているのなら、落ちて良かった……ということでしょうか。
ただし声かけの場合は、自分が予想していなかったところから連絡がきますし、契約は慎重にしましょう。
出版社ごとにカラーがあるし、担当する編集者さんによってもだいぶ違うみたいです。
私は気楽に二つ返事でOKしちゃいましたが、初心者ならではというか無謀でもあったと思います。
本を作るというのはひとつのプロジェクトで、多くの人が動くのだ……ということもよく理解していませんでした。
そう簡単には降りられないし、見えない作業もたくさんあります。いい本を作りたくてがんばりますが、出口の見えない状態が続くというのはなかなかしんどいものです。
本ができて終わりではなく、それを売るという仕事もありますしね。
それについてはまたいつか。