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電話と美男と道鏡と

トゥルルルル…

また、この時が来てしまった。


店の電話に出る時が!!!

…いや、そんなに深刻なことではないのだけれど。


私、佐野みつばは電話がちょいと苦手だ。人の顔を見ながらその人のテンポに合わせて話す方が私には性に合う。

っと考えてる暇はないんだった。


お店の電話にはコール3回以内になるべく出ないといけない。出られなかったら「お待たせ致しました」と言えばいいのだが、1歩も動かずに受話器を手に取れる状況では3回以内だろう…泣


トゥルルルル…

2回目だ。そろそろ気持ちを切り替えて行くぞ!佐野みつば!


トゥルルルル…

よっしゃあ!いくで!

と、気合を入れて受話器を取ろうとしたら右横からニュっと手が伸びて受話器を取った。


「はい、お電話ありがとうございます。雨宮書店、高野でございます」

声は低くも高くもなく、軽い口調。あやつだ。


「申し訳ありません。ツイステの一番くじは終了してしまいました。はい、すみません。はい、ありがとうございます。はーい」

受話器を元の位置に戻すと、両手で頬杖をついて上目遣いで私のことを見てきた。私は電話の他にこの目の前にいる人も苦手である。


「ねぇ佐野ちゃん、電話苦手でしょ?それで困ってたところを助けた俺、かっこよかったでしょ!」

「……そうですね」

「絶対思ってない!笑」


あぁ、苦手だ。もしかしたら電話より苦手かもしれない。


彼の名前は高野航平。この仕事を始めて2年目になる。年齢は同い年らしい。隣でブワーっと自己紹介されたことがあるが、「にがてだ」のこの4文字で頭が埋め尽くされていたため何を言われたか覚えていない。


所謂「陽キャ」に分類される生き物であろう。修学旅行のバスで1番後ろに座るような人だ。…あっ、それは偏見だな。失敬。


そして…


「あの人、かっこよくない?」

「えっ、誰?…うわっ!めっちゃイケメン!タイプだわぁ」


そう彼は「陽キャ+イケメン」なのである。なんなんだ、上原さんも美人だし、この書店の店員は美男美女じゃないといけないのか!と思う時がある。


テンションが高いのも苦手、イケメンも苦手な私からしたら最悪な条件の人だ。


「佐野ちゃん、俺の話聞いてる?」

あれからずっと上目遣いで話をしていたらしい。


「聞いてますよ」

「じゃあ俺今何話してた?」

「…道鏡ってなんだか言いたくなるよねっていう話」

「どうなったら道鏡出てくるの笑笑ウケる笑笑」


ウケる…あぁ、電話もこやつも苦手だ…

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