第6話 ???視点
「神様は沢山いる」とリルリルは呟く。
その通りだ。この世界は一神教より多神教を信じる人間たちは多い。「お前の住んでいた街に神殿は一つしかないが、大小様々な神をかたどった偶像が祀られていただろう」と、リルリルに言ってやりたい。しかし、何故、そんな事が気になるのかナニカには理解らなかった。
「よし! 決めたぁ!!」
突然リルリルは歌って踊りだす。
あれは…『神楽』なのか? 『歌舞』なのか?
余りにも下手くそなので、別物ではないかと思ってしまったナニカ。
そして、『歌舞』の中に『祈祷』で取り込んで…リルリルオリジナルとなって、『始まりと転職の神アバーエフ』、『衣装と装飾の神ゼレーニン』、『勇気と戦いの神シーガレフ』に祈りを捧げていた。
リルリルを『巫女』にした『始まりと転職の神アバーエフ』。『巫女装束』を贈った『衣装と装飾の神ゼレーニン』。『お祓い棒』の『勇気と戦いの神シーガレフ』。
中々、ちゃんと見ているじゃないかとナニカは感心した。
そして、ピカーッ!! と、リルリルの体が神々しく光りだす。
リルリルには見えないだろうが、背後に『始まりと転職の神アバーエフ』、『衣装と装飾の神ゼレーニン』、『勇気と戦いの神シーガレフ』が一瞬だが降臨し、リルリルの体に何かを注いでいた。
おいおい…。神々自由すぎるだろ…。
ナニカは訝しげ顔で、リルリルのステータスを覗き見する。
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名前:リルリル(人間・女性13歳)
職業:巫女(Lv4)【RPG中変更不可】
強さ:街のちょっと強い女の子
念仏:『インベントリ』、『召喚:お祓い棒』
合掌:『召喚:経典』、『金縛』
神楽:『歌舞』、『祈祷』
効果:白衣(環境適応)
緋袴(魅力アップ)
千早(敵意から保護)
白足袋(行脚支援)
草履(浮遊)
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えっと…数匹飢えた魔狼を倒して、祈りを捧げただけで…Lvが3も上がったのか!?
『LV』とは『ロールプレイングゲーム』該当者専用の概念であり、これを上げるとより強くなるのだ。
いやいや…激甘過ぎる!!! 確かに可愛いし、見てて飽きないけど!?
使いパシリの身分だけど、釘を差しておかないと!
そう思って天界の神々に話しかけるが、一切誰からも返事がない。
どーなってるんだ!?
やりきった感満載のリルリルは、また腕を組み考え始めた。
それを見ていた飢えた魔狼は、透明なナニカの多分脇腹をツンツンした。
「また…何かをやらかそうとしてますよ?」