第25話 エデルトルート視点
リルリルとボクは裸でベッドに寝ている。別に嫌らしい意味はない。『巫女衣装』と『くノ一衣装』は下着の着用が禁止されているからだ。かと言って、衣装のままでは寝辛い。
えっ!? 脱いでるんだったら、下着とパジャマで良いだろうって? まぁ、そうなんだけどさ…。それよりも重要な事がある。
「湖の街カールグレーンを目指してるのか? ボクも住んでいたけど面白くないぞ?」
湖の街カールグレーンはエデルトルートの両親が盗賊の縄張りとする拠点がある街だ。リルリルが湖の街カールグレーンに行く理由は、ミレナたちに誘われているからだ。リルリルを説得するのは不可能だろうな…。
リルリルを見ると、すぴーっと既に寝ていた。純粋無垢と言うか無邪気と言うか無防備と言うか…。
「ボクが付いていてあげないと…」
寝て体温が上がったリルリルを抱き寄せる。くそっ! リルリルの方が胸が大きい!!
でもなぁ…。家の事で、暗殺集団やら盗賊団、それに貴族が出て来て…。リルリルに迷惑かけちゃうよな…。どうしようかな…。
翌朝、ミレナの父親カレルに挨拶して、一緒にカールグレーン行きを決意する。
「エデルトルート様も『ロールプレイングゲーム』該当者!? それにゴブリンロードの討伐に尽力されたお二人がご一緒なら、カールグレーンまでは何も心配することは無いですな!」
ミレナはリルリルを独り占め出来ないからか膨れっ面だったけど、カレルは終始上機嫌だった。
リルリルは宿屋の娘エミーの食べ物攻撃に篭絡されていた。
「リルリル、これはね、甘い果物だよ! あーん♥」
「はい、あーん」
大食堂でイチャつくリルリルとエミーを見つけたミレナは「リルリルお姉ちゃん!?」と叫んで二人の間に割り込む。
「ミレナ様、これは街の英雄への特別なサービスです!」
「なら、エデルトルートお姉ちゃんにもしてあげなさいよ!」
はっ!? いえ、ボクは結構です…。
「ほら、エデルトルートお姉ちゃん! 早く!」わざわざ戻ってきて、ボクの腕を掴む。
「仕方ないですね。エデルトルート、あーん♥」
「何の罰ゲームかな!?」
「恥ずかしいの? ならリルリルが食べてあげる!」
パクリとリルリルがフォークに刺さった果物に喰らいつく。
「もう、リルリルは食いしん坊なんだから!」とエミーは嬉しそうだが、客観的に見るとかなりヤバイ気がするけど気にしたら負けだよね。
ボクはリルリルを膝の上に乗っけると、ミレナはリルリルの膝の上に乗った。リルリルは不思議そうな顔で考え込むが、すぐに笑顔になる。
楽しい時間も終わりが来る。
エミーは泣きながら、リルリルとミレナに抱きつき「また泊まりに来てね」と、お別れの挨拶をしていた。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
書いているうちに何かが違うぜぇ…って事で、完結となります。