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第18話 エデルトルート視点

「ゴブリンはね。単独で生きることは出来ない。だから単独で行動するゴブリンは斥候と言って、周囲を監視しているんだよ」

「うんうん。それでそうするの?」

「あのゴブリンは必ず巣に帰るから、それまでは静かに尾行するの」

「うんうん。尾行する!」


 このとき既にエデルトルートは、ある違和感を感じていた。通常、こういう川に近い森の入り口には、ゴブリンはいないはずなのだ。理由は幾つかある。森へ出向く人間たちの気配が残っているためとか、水を飲もうと森から飛び出す小動物を狙う、暴れ熊の群れ等が縄張りとしているとか…。


 それらを確認するための斥候なので、100%いないわけではない。それよりも、リルリルに尾行など出来るのだろうか? 


 別にクエストを受けたわけでもないし、リルリルと一緒に楽しめれば良いか。


「尾行はね。足音を立てちゃ駄目なんだ…あれ?」


 そう言えば、リルリルの足音を聞いていない? 


 エデルトルートの両親は、エデルトルートの職業を暗殺者にするか盗賊にするかで、一時血みどろの戦いを繰り広げ、最終的に暗殺者に落ち着いたのだ。しかし、エデルトルートは、リルリルと同様に、30万人に1人の確率で、己の役割を神が割り当てる『ロールプレイングゲーム』該当者となり、『くノ一』というレアな職業に就いてしまった…。勿論、法を守らない両親であるため、旅にも出さずに物好きな貴族の妾として、法外な値段で売り捌こうとしていたのだ。


 そんな職業のエデルトルートは、改めてリルリルの異常な能力を間近で分析し始めた。


「まずは、見つからないように、あの木の影に移動するよ。静かにゆっくりだよ」

「うんうん!!」


 リルリルを先に行かせ、後ろからリルリルを観察する。


 ん!? う、浮いている!? リルリルは…わずかに地上から浮いていた。そりゃ…足音がしないわけだ…。


 エデルトルートは、胸の前で両手の人差指を立てて手を組み『忍術』を発動させた。それは『影潜り』という『忍術』であり、リルリルの影に潜ることが出来るスキルだ。


 これはエデルトルートしか知らないことなのだが、影の中は湯船のようなもので、リルリルの素肌の感触や匂い体温がダイレクトに伝わってくる。キモ臭いおやじに『影潜り』したくない理由が、それであった。しかし、今は、リルリルの肌の感触や匂いをダイレクトに感じて、エデルトルートは興奮していた。


 あれ? ボク…リルリルで興奮している?

 

 影の中は湯船の中だ。勿論、リルリルは裸同然。影の中でリルリルに抱きつけば、リルリルには服の中に手を突っ込まれているのと変わらないのだ。


「ひゃいん!?」


 くすぐったくて、変な声を出してしまった。


「ギュル?」と、ゴブリンが周囲を見回し警戒する


「エデルトルート…どこ?」小声で言いながら、エデルトルートを探す。


「帰っちゃったの? 何か悪いことしたのかな…」


 少し悲しい顔をするリルリルも可愛いなと思うエデルトルートだった。


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