第17話 エデルトルート視点
「面白すぎる!!」
ボクは奇妙な格好をした少女を全力で追いかけた。その余りにも目立ちすぎる少女はすぐに見つかる。
「ねぇ! ボクも今日から冒険者なんだ。一緒に行かない?」
少女は首を傾げ、「男の子とは行かない」と、やんわり断ってきた。
「違う! ボクは女の子だ!!」
「女の子は、こんな風に何も付いてないんだよ?」
少女は衣服をまくり上げ…つるんつるんな部分を曝け出す。ブシューッ!! と、ボクは鼻血を吹き出す。
「えっ!?」少女は驚き周囲を確認する。何かに攻撃されたと思っているらしい。
「な、何でもない…。そういうのは無闇矢鱈に見せちゃ駄目」
ボクは鼻を摘みながら上を向いて言った。
「それより早く見せてよ。男の子だったらぶっ飛ばす」
何やら少女は怒っているみたいだった。
「道のど真ん中じゃ…恥ずかしいから…あっちで…」
「あっ。掴まれた…」
ボクは少女の手を掴んで路地裏に入る。そしてズボンと下着を下ろして…。何も付いていないのを確認してもらう。
「ボクとか言うから間違えるんだよ」とやはり少女は怒っていた。
「うっ…。ごめん…」
「いいよ。私はリルリル。『ロールプレイングゲーム』該当者で『巫女』だよ」
「『ロールプレイングゲーム』? 『巫女』? よくわからないけど、ボク…あっ。ごめん、エデルトルート。職業は…短剣とか弓とか得意だ」
「うん、よろしくね!」
「よ、よろしく。で、リルリルはどんなクエスト受けたんだ?」
「うん? 受けてないよ? 外に魔物を狩りに行くの…」
「そうなんだ…。でも、狩る相手によっては、報酬もらえるかも」
「そうなの!?」
リルリルは子供のように感情が体に出てしまうタイプらしい。ウキウキスキップである。
そんな調子で街の外に出るが、魔物の生息地帯とは反対方向に行こうとしていた。リルリルと一緒ならば、ボクは魔物とかどうでも良いのだが、喜怒哀楽の激しいリルリルのことを考え、やんわりと目的地へ導く。
やがて森の中に入ると、不潔な緑色の小人。つまりゴブリンを見つける。
「リルリル! こっち。隠れて」とリルリルの柔らかくて温かい手を引張る。
「うん? 何で隠れるの? 倒さないと」
「リルリルは強いかもしれないけど、冒険者には冒険者のやり方があるんだよ」
「うんうん」とリルリルは冒険者というキーワードに食い付き、リルリルの顔がだんだんと近づいてくる。このまま近づいたら…キス!? しちゃうけど!!
うっ。リルリルの澄み切った瞳に、己の邪心を映し出されたボクは、真面目にリルリルへゴブリンを狩る際の注意点を説明し始めた。