表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/25

第13話 仁王視点

 透明化出来ない飢えた狼を街の外に待たせ俺は一人で、リルリルの盗撮を続ける。もう正直に言おう、これは神々の命令による盗撮だ。


「カレルさん、どの神様が良い?」

「そ、その言い方は…不謹慎ですが…。『商いと幸運の神マチュヒナ』様でしょうか」


 その男の言う通り、リルリル。不敬過ぎるぞ!!

 いや、俺の中では、もう…神々の品位は地に落ちているからな…。

 もう、どうでもいいか。


 リルリルははそれっぽく、いつもの様に難解な手順で『お祓い棒』を召喚して目を瞑り…『商いと幸運の神マチュヒナ』、『旅と巡り逢いの神チェシェンコ』、『健康と喜びの神エローヒナ』に神楽の『歌舞』で歌って踊って、『祈祷』で祈りを捧げる。


 ピカーッ!! と、体が神々しく光りだす。人間どもは驚愕し、俺は嫌な予感がした…。


 予感は的中する…。


 リルリルの背後に『商いと幸運の神マチュヒナ』、『旅と巡り逢いの神チェシェンコ』、『健康と喜びの神エローヒナ』が一瞬だが降臨し、リルリルの体に何かを注ぎ始めた。


 神々は、各々口に指を当て、黙っておれと…俺と人間たちにジェスチャーを送った。

 すると人間たちの体も光だし…恩寵を与えられたのがわかった。


 もう…いい加減にしてくれ!! 俺は心の中で叫ぶ。


「ふーっ。こんなことしか出来ないけど。商売繁盛すれば良いね」額に汗をかいたリルリルがあっけらかんと言い放つ。


 人間達は、何と言っていいか理解らず、「あははっ。素晴らしい祈祷でした」と感謝する。


「そんなに喜ばれると嬉しいな。ガンガン街の人にもしちゃおうかな?」

「それは駄目ー!!」 


 神々の降臨は口止めされているため本当のことは言えないが、人間たちは、「街中で『祈祷』すると大変なことになるから!!」と、必死に止めていた。


「何が大変なんだろう?」リルリルは呟く。

 そして女の子が「ま、街中の人が集まって来て、大混乱になちゃうからだよ」と説明する。


 すまんな…人間たち、神々が愚かで…。

 俺は人間たちに謝罪した。


 しかし…。

 リルリルがやたら可愛く見えるのは何故だ?

 俺はリルリルの神具を再度確認する。


□□□──────────────────────

神具:巫女装束(緋袴)

贈主:衣装と装飾の神ゼレーニン

加護:恥じらうほどに見るものを魅了する。しかし、

   相手の感情が一定以上に昂ると効果は消えてし

   まう。

──────────────────────□□□


 これか…。

 滅茶苦茶すぎて、もう手が付けれられんな。

 俺は諦めた。

 しかし、神々をここまで熱狂させるリルリルトは一体何者なのだろうか?

 いや、調べたのだ。

 結果は普通の街娘なのだが、それでは納得がいかないのだ。


 リルリルが人々を魅了する要素とは何か?

 愛くるしい顔立ちに、憎めない行動、可愛い動作だろう。

 そして『巫女装束』の効果で、それらを底上げしているのか?


 んっ!?

 

 もしかして…。

 神々が一致団結して…リルリルを作りやがったのか!?

 そんな馬鹿な事を…奴らならやりかねない…。


 仁王の額から汗が零れ落ちた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ