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第10話 ミレナ視点

 急停車した馬車。地鳴りのような怒声。冷たく響く剣戟の音。

 これまで幾度も経験した盗賊の襲撃だけど、未だに慣れません。


 お父様は元剣士ということもあり、盗賊撃退のため出ていってしまいました。

 車内には取り残された私は、心臓が悲鳴を上げるぐらいの恐怖に怯えながら、それでも…お父様の無事を確認したいと、こっそりと馬車を降りたのですが、足が竦んでドアにもたれ掛かってしまったのです。


 バキバキバキ…ドカンッ!! ドドドドド…。


 遠くの方から樹木の倒れる音、巨大な獣が荒々しく地面を蹴りながら走る音が!? 巨大な魔獣が向かってきたのでしょうか!?


 盗賊とお父様たちの剣戟も聞こえなくなりました。

 私は、四つん這いになりながら…何が来るのか、お父様は無事なのか、全容が見える場所まで移動しました。


 戦いを繰り広げていた盗賊団と、お父様が雇った護衛たちは、剣を止め…恐ろしいまでの爆音がする方へ全員が視線を向けています。


 樹木をなぎ倒し、土煙を舞い上げ、雷が落ちたような足音を立てて――


 現れた正体を見て、私を含めた全員が…。


「「「「「「「「へっ?」」」」」」」」となったのです。


 そこに現れてのは、不思議な格好をした…私よりも年上の女の子。

 そして、女の子はモジモジしながら…「ま、街って近い?」と尋ねてきたのです。


 誰も返事をしないからか、てへっ? と舌を可愛く出し、後頭部をかきながら頭を傾けました。


 すると、最初に我に返った盗賊の一人が大声で叫びました。


「す、姿に騙されるな!! こ、こいつは…妖魔に違いねぇ!! お前らも見たろ!? 樹木をなぎ倒して来やがったんだ!! 商人、共闘だ!! もうお前らは襲わねぇ!! 死にたくなければ…協力しろ!!」


 盗賊の言うことも間違ってないかも知れません。女の子が森を抜けられる訳がありませんし、女の子が木を倒したりしませんから…。


 しかし、盗賊たちは女の子を囲みましたが、お父様たちは盗賊の言葉に耳を貸しませんでした。


「もしかして…悪い人…」と、女の子が言い終わる前に、盗賊の一人が先手必勝とばかりに斬り掛かかりましたが、手応えもなく剣がすり抜けてしまったのです。


「き、斬れないだと!?」

「何するのよ!!」


 女の子は左手の甲を腰に当て、斬りかかった人を指差す。

 ほっぺたはぷっくりと膨らんで怒っていることをアピールしていた。


「おい、逃げようぜ。駄目だ…。こいつは…可愛すぎる。魅了の能力持ちだ…心が奪われる…」


 盗賊たちは、私達商人を生贄として差し出すことで、逃げられると考えたみたいです。

 後ろも振り返らず、一目散に逃げて去っていきました。


 そして、逃げてしまった盗賊たちから、女の子は私達へ視線を移し…私と目が合ってしまったのです。


「あっ! ねぇねぇ。お話しよう?」と女の子が近づいてきます。


「もう怖くないよ? あれ? 震えが止まらないの?」


 女の子は優しく声をかけてきましたが、盗賊が怖いのではなく…。

 貴方が怖いのですとは言えません…。


「ば、化物!! ミレナから離れろ!!」お父様が叫ぶ。


「えっ!? もしかして、私が怖いの!?」

 と、さらに女の子が近づいて来ます。

 私は質問に対して、素直にコクリと頷く。


「化物じゃないよ、私は…これ見て、あの人に教えてあげて」


 女の子は私にぴったりとくっついて、ステータスを公開しました。


 へっ!?

 RPG中って…もしかして、あの…『ロールプレイングゲーム』該当者!?


 そ、それも、驚きなのですが…。

 女の子に近づかれて…頭がぼーっとしてしまします…。

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