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第1話 母親視点

 13歳の誕生日、娘のリルリルが洗礼式を終えて神殿から姿を見せた。「まかはにゃ!?」とか意味不明な事を口走り、頭を抱えてながら走り寄ってくる。


 幼いながらも整った顔立ちは愛くるしく、体は成長期前なので評価できないが、容姿に関しては問題ない。しかし、この様に自分自身で処理できる許容量を越えてしまうと、混乱して何をしでかすかわからない。


 娘は困った顔で、「お母さん…どうしよう…」と言いながら、使えるようになったばかりのステータスを私に公開した。


 一体何を困っているのか? と、ステータスを一緒に確認する。しかし、一目見ただけで娘が混乱する原因がわかった。


 通常、自らが希望した職業に就くため、職業欄は空欄はずなのだが…。その職業欄に記されている『巫女』という文字を指差しながら、娘は私へ必死に説明していた。


 30万人に1人の確率で、己の役割を神が割り当てる『ロールプレイングゲーム』という仕組みがあり、さらに『巫女』というレアな職業に就いてしまったと…。


 私は困惑する。何故なら『巫女』などという職業は聞いてことがないからだ。


 そう言えば事前に神殿関係者から、『ロールプレイングゲーム』該当者に関する説明を受けていた事を思い出す。


 それは『ロールプレイングゲーム』に該当する子供は、街を治めるダルトン子爵へ報告に行くこと。また、一週間以内に街を出て旅に出る掟があること。そして、『ロールプレイングゲーム』に関する質問は受け付けていないこと…。


 レアすぎて、相談する相手は誰もいなかった。


 家に帰ると娘は、「頭の中に直接神様が話しかけてきたんだよ?」と不思議なことを言い出し始めた。「だから、神様の言う通りにする」と言うが、とても理解できない。


 「まずは『合掌』だね」と、娘は両手を胸の前で合わせ目を瞑った。するとボフンッ!? と煙と共に分厚い本が、娘の合わせた両手の前に現れ、プカプカと浮かんでいた。


「そ、それは…何だい?」

「えーっと…。『経典』?」


 そして、娘は当たり前のように『経典』と呼ばれた分厚い本を手に取り、ペラペラとめくり『インベントリ』の開き方と書かれたページを開く。


「次は『念仏』を唱えるのか…गोदाम」と不思議な言葉で何かを唱える。そして空中に手を突っ込む!? と、そこから…不思議な衣装を取り出した。


「い、今…手が…消えなかったかい!? それに…何処から出したの!?」

「うん。『インベントリ』だったかな? 『ロールプレイングゲーム』該当者が使える不思議な倉庫だって。そこから、この『巫女衣装』を取ったんだよ」と少しドヤ顔で説明された。


 『巫女衣装』は、シャツ?の白衣とスカート?の緋袴に、千早を羽織り、靴下が白足袋で、靴が草履と見たこともない衣装だった。そして、何故か下着の着用は厳禁とのこと…。


 娘は、クルルン、クルルンと鏡の前で回っていた。神秘的で荘厳的な不思議がある格好だが、可愛かった。


「お父さんにも見せてくる!!」と娘は走って…バタンっと転んでしまうが、擦り傷一つ付かず、衣装も全く汚れていなかった!?


 こんな可愛い娘を…一人旅に出させるなんて…。

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