表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/125

97・






(ッマジで、こいつの頭ン中どーなってんだよ…)




もう何度繰り返したかわからない疑問がグルグルと頭の中を占め身の内を焦がすような熱を必死に誤魔化す




化物だと

魔物の子だと

気色が悪いと

吐き気がすると

近寄るなと


醜いと




腐るほど言い捨てられてきた自分に




話しかけるだけでも稀だと言うのに




……口で、触れるなんて







何度こいつは自分を掻き回せば気が済むのだ





態々ミーシャが述べた手伝いの言葉をキツく拒絶したから傷付けたのかと思った


自分の口の悪さを知ってる筈のミーシャが衝撃を受けたように反応しなくなったこともそうだが、

話してく内に泣き出したことでそれほど自分は酷いことを言ったのかと思わず前言を撤回する勢いで慌ててしまった



それでも今までと違って嗚咽も声も出さずにボロボロと泣くミーシャの姿に胸を潰されるような思いだった



こんなに泣くほどのことだったのかと疑問も翳めたがこんなに何かを【痛い】と訴えているような泣き方をさせているのが自分なのかと思えば己の首を絞め殺したくなった


そんな自分が触れても良いのかも分からずどうすることも出来ないで居たのに


目の前でミーシャが泣いているのを何もせずにただ見ていることも出来なかった



伸ばした手が拒絶されないことに安堵して


いつものように求めてくるミーシャに思い出したように息ができた



それでも泣き止まない腕の中の彼女に途方に暮れていたというのに…




(……くそっ、)







自分の予想を裏切ってばかりだ






身体が熱い


心臓がうるさい


頭がグラグラする




自分の腕の中にいる存在のせいでこんな状態になっているのは分かりきっているのに








何故か、





この腕を離したいとは思えない




それどころか、





この甘い香りを


この小さな温もりを


身体に巻き付くこの細い腕を








もっと感じていたいと、








訳がわからない




死にそうなほど具合が悪いというのに


ミーシャの腕が動く度に身体が馬鹿みたいに反応してしまうというのに






それでも、


離したくないのだ







(くっそ意味わかんねぇ……)








死にそうなのに


苦しいのに


頭が働かないのに




腕だけは馬鹿みたいに力が入ってて






自分の身体も遂にイカれちまったのかと本気で思う






このままではマズイ


何がどうマズイのかはさっぱり分からないが




とにかく マズイ




それでも抱き締める腕が緩むことはないし


心臓の音は増すばかりだ




遂に頭にまでヤケがまわったのか


何も考えられなくなる





(やべえ…、)







頭の中のどこかで叫ぶ焦燥感が霞み始め


ただ、目の前の温もりだけを




ミーシャだけを、感じて…









「…ふふっ」





ビクッと思わず身体が跳ねる



霞みがかった思考の中で透き通るような笑い声が響く





「……に、笑ってンだ」




働かない頭を無理矢理動かして声を出せば情けない掠れ声しか出なかった

それでもミーシャは擽ったそうに身を捩りながらクスクスと笑う


「だって…」と小声で呟く声が心地良い


もう一度聞きたくて「なんだよ…」とこちらも聞こえるかわからないほどの声で問えばミーシャは耳を胸板に寄せて





「ライの心臓、凄く早い」


「ッッッ!!!!!!!」






ベリッと音が鳴りそうなほどの勢いでライはミーシャを引き離した


そのあまりの勢いにミーシャは猫のような目をキョトンと大きくさせる

薄緑色の瞳は未だ揺れていたがあの大粒の涙はすっかり止まっていた


しかしそんなミーシャの表情が気にならないほどライは身の内から沸き上がる先程とは違う熱に混乱していた





「ぁああッッ!!??」

「え、何?」


「ッッるせえ!!!!」

「え!?」



何かなんてそんなのはコッチが聞きたいとライはミーシャを軽く突き離し足の間から退けると勢いよく立ち上がる

そして近くにあるソファにドカッと音がするほど勢いよく座り込むとこれまた音がするほど勢いよくガバッと頭を抱え込んだ





(ッッッッッッンだ!?今の!!!!!!!)





先程まで自分は何を考えていたのか



動かなかった頭も身体も意味がわからない


自分の身の内に起きたこととは到底思えない


そもそも何でこんなことに、




そうだ、元はと言えばこいつが…




(~~~~ッ、くっっっそ!!!!!!!!)





こんな風にしたのはミーシャなのにその原因である彼女に自分の心臓の早さを指摘されたことがライは悔しくて嘗て無いほど恥ずかしかった 


先程まで抱きしめてくれていたライの今にも死にそうに茹だらせ蹲る姿をミーシャは不思議そうに見つめる




「ライ?大丈夫?」


「大丈夫?じゃねえよ!!!てめえのせいだろうがっこの痴女!!!!!」


「違うよ!!??」


「何が違えんだ!!平気で男に引っ付いてきやがって!」


「ライにしかしないもん!!!」


「ッもう、おまえは黙れ!!!!泣いてねえならとっとと飯作るぞ!!!!!」





とにかく何かしたくてこの場に居たくなくてライはミーシャの顔も見ずに立ち上がる


「え!?」と声をあげるミーシャを放って1人ダイニングに向かうライは沸騰した頭とグルグルと回る視界に翻弄されながらも




動揺で声をあげるミーシャが泣き止んでいることに


内心でソッと安堵の息を吐いた









ライは自分の心臓の音の大きさと早さに動揺するばかりでミーシャも同じくらい早鐘を打っていたことに最後まで気付きませんでした。



いつもお読みいただきありがとうございます。

不定期な更新と暫くお待たせしてしまったお詫びにまたもや簡単な会話形式のSSを活動報告に載せてみました。

今回はカーターとライの怒鳴り合いです。

ご興味がおありでしたら下記の【作者マイページ】からどうぞ。


ブクマ評価感想読了、とてもとても嬉しいです。

目に見える数字やお言葉がいつも大変励みになっております。

本当にありがとうございます!

今後も楽しんでいただけたら幸いです。


ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ