表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/125

90






「………何事(なにごと)?」


御行儀悪く足先で人様の家の玄関を開ければ男性にしがみつく親友と真っ赤に茹だった知人と唯一視線が合う金の瞳の男の様子に服屋の娘エイミーは開口一番そう問いかけた



「よぉ」

「こんにちは、ライさん。……修羅場ですか?」

「アホか」

「エイミー!!君はこいつを知ってるのか!?」

「知ってるも何も、ミーシャの運命の人でしょ?」

「おい」「なっ!?」

「あとミーシャんとこの新しい従業員さん」

「なぁっ!?!?」



事も無げに言い放つエイミーにライは眉根を寄せて口を挟もうとしたが驚愕の声を上げる坊ちゃんを横目で一瞥すると溜息一つに(とど)めた

賢明にも黙秘することを選んだらしい


そんな溜息さえも美息として甘受しているミーシャの様子にエイミーは呆れ顔のまま肩を竦めた

そして知人の坊ちゃんへと視線を移し表情を変えぬまま声音にも呆れを含ませる



「それよりニック。声デカイわよ。外まであんたの怒鳴り声が聞こえてたわ」

「僕だって好きで怒鳴ってるわけじゃない!!!」

「はいはい、なんでもいいけどあんたん()じゃないんだから少しは遠慮しなさいよ。ミーシャん()に迷惑でしょ?」

「こんな男が上がり込んでいるほうが迷惑だろう!?ましてや従業員だって!?何を考えて「うるさいったら」



迷惑そうに顔を歪めたエイミーは坊ちゃんを放っておくことにして未だ夢心地に蕩けている親友へと声をかける



「おーい、ミーシャ。そこ居心地良いのはわかるけどそろそろ案内しなさいよ。結構重いのよ?コレ」

「あっ!ごめんねエイミー」

「邪魔して悪…ちょっと‼︎目ぇ真っ赤じゃない!!どうしたの!?まさか…っ!ちょっとニック!!!あんた何したのよ!?」

「なっ!?なんで僕だと決めつけるんだ!!」

「違うっていうの!?」

「………ぼ、僕のせいじゃ「この人のせいです、エイミーお姉ちゃん」「ミーシャ!?」

「わかってるわよそんなこと!あんた鏡見てみなさいよ!どうせ下手な正義感振り撒いてライさん困らせてミーシャ泣かせた挙句に一発もらったんでしょう!?」



素晴らしい洞察力である

ミーシャは頼もしい親友の見解に思わず拍手を送りたくなった


その頼もしい親友にいつまでも重い荷物を持たせておくわけにはいかない

ミーシャは名残惜しげに腕の力を緩めるとライもまわしていた腕を解き再度ミーシャの頭を軽く叩いた

その些細な動きにさえミーシャの心臓はいとも簡単に射抜かれてしまうというのにライは何事もないかのようにエイミーの元へと歩を進ませる



「貸せ」

「わ、ありがとうございます」



ライがエイミーの持つ箱に手を伸ばすとエイミーは慌ててお礼を述べ素直に手渡した

しかしライはそれを受け取りながらも苦虫を噛み潰したような顔をするとどこか諦めたように溜息を一つ吐く



「こんなん持ったままここまで来たのか?」

「流石にソレはしたくないですよ。外にこれ用の荷車置かせてもらってます」



既に二回目の邂逅のためかエイミーはライに対して変わらない態度で接していた

その様子が坊ちゃんのせいでささくれだっていたミーシャの気持ちをジワリと暖かくして思わず大好きな親友へと抱きついてしまう



「わ、何。どうしたの?ニックの奴そんな酷いことしたの?」

「してない!」

「それもあるけどエイミーが親友で良かったなって」

「してんじゃない、嘘吐いてんじゃないわよニック」



坊ちゃんの反論などなかったかのように密告を告げたミーシャにエイミーも自慢のどんぐり眼を吊り上げギロリと被告人を睨み付けた

そんな頼もしくて優しい親友にまわしていた腕を一度ギュッと力を入れてから解きミーシャは笑みを浮かべてエイミーに向き直る



「エイミー荷物持ってきてくれてありがとう!大変じゃなかった?」

「え?あぁ、大丈夫よ。来るまでは荷車に乗せてきたし乗せる時もニコにやらせたから」

「そっか、ニコにもお礼言っておいて」

「いいのよ、あいつだって仕事なんだから。それより酷い顔してるわね。早く冷やさなきゃ腫れるわよコレ」

「うっ、そうしたいのは山々なんだけど…」



ミーシャがエイミーと歓談し始めた横では暗緑色の招かれざる客人がライに食ってかかっていた

言葉は変えているが要は「ふざけるなっ」「ミーシャに何をした」「出て行け」を何度も繰り返しているようでそれを間近で浴びせられているライは箱を片脇に抱えている手とは逆の手で耳を塞ぎウンザリとした表情を浮かべている


終いにはライの「クソうぜぇ…」の一言にカッとなった坊ちゃんが掴みかかろうとしたのだがそれより先にライが僅かな動きでそれを避けるとまたもや片腕のみで坊ちゃんの腕を捻り上げたためミーシャが止めに入る間もなかった

加えてライはオマケと言わんばかりに足を払ったため坊ちゃんは短い脚を絡ませ前のめりに倒れてしまう



「流石に放ってはおけないよね…。かと言ってあがってもらいたいわけじゃないし…」

「ま、そりゃそうね。さっさと帰ればいいのにあいつもしつこいわね。にしてもライさん本当強いわね。今の早くて良くわかんなかったわ」

「でしょう!?ライ強いよね!なのに優しいしかっこいいしかっこいいしかっこいいしっ!そんな人がま「はいはいわかったわかった」



女二人で薄情な事を述べミーシャに至ってはライへの布教も試みていたがその会話の中で邪険にされている坊ちゃんは幸か不幸か這いつくばった羞恥心から内容を聞き届ける余裕がなかった






まさかのキリの良い90話でまたもやぶった切りをかましました、すみません…!

いつも読了ブクマ評価感想ありがとうございます。

まさかのブクマ数300越えと評価数3桁越えに作者自分の視力を疑いました。

良い数字ですね3!

本当にありがとうございます。

疎らな更新と未熟な執筆能力で恐縮ですが今後も楽しんでいただけたら幸いです。


よろしくお願いいたします。・*・:

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ