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酷い なんて事を
あり得ない 信じられない
許せない 大っ嫌い
悔しい
辛い
痛い
苦しい
哀しい……
自分に向けられた訳でもないのに
自分に向けられるよりも
痛くて辛くて哀しくて
あんなに酷い事を言われたのに
ライはその事には何も言わなくて
ただ、『泣かせるな』と
……苦しい
まるで自身には傷つくことなどないかのように
向けられた悪意に対して無頓着なライが
無頓着にならざるを得なかったであろう環境が
自身を貶されることには無頓着なのに
他者を気にかけ守ることは当然のように思っている
ライの、優しさが
胸を締め付ける
痛くて
苦しくて
切なくて
哀しくて
そして…、
……
「……ッぐ、ひっぐ、…ラ、イィィ」
「はいはい、なんだよ」
包み込んでくれる大きな身体が暖かい
「ッだ、~ッぐ、だい、好きィィ…」
「……わーってる」
宥めてくれる手つきがぎこちなくて、優しい
「ッぐ、ヒック、ほ、本当に、ッ好き、な、んだよ?」
「あぁ」
同じことしか言えないのに受け入れてくれる
「~ッ、全部っ、…!」
「あ?」
泣いてばかりで宥められてばかりで
ライを守ることも代わりに傷を背負うこともできなくて
「ライ、ッの、全部がッ、ヒック、~ッ大好き、っなの!」
「………ほんと、物好きな奴」
何もできないけど
この気持ちだけは誰にも負けないから
だから
「ッ、だから、ッグ、ラ、ライ」
「ん、」
だから
「ヒック、ッグッ、ずっと、い、一緒に、
…居てね」
「………」
一人で、傷つかないで
傍にいさせて
ライの傷に触れる度に
こうして泣くことしかできないけれど
それしか、できないけど
貴方を想う気持ちを
伝えることは、できるから
何度でも、伝えるから
ライが好き
大切で、大好きで
傷ついてほしくないの
それでもどうしようもない時は
この想いだけでも伝わっていてほしいから
ねぇ、ライ
傍に居させて
「………………………あぁ」
そう言って ライは
優しく抱きしめてくれた




